優しい雨

むた　(2005/03/05(Sat) 08:47:05)

　この話はフィクションです。出てくる地名、人名は仮名です。もう第何弾かわからないむた刑事シリーズです。

「心の隙間に優しい雨が降る
　疲れた背中をそっと湿らせてく♪」
（小泉今日子「優しい雨」より）

　栃木県Ｎ市に雨が降った。ただ、それだけのことだったが、その雨は山の土を洗い土の中から３０才くらいの男性の死体を地面の外に出したのであった・・・。

　都内の所轄署では会議が行われている。
「栃木県警から被害者の身元の照会があってな、調べたところうちの署に失踪届けがでているタカハシという男だということがわかったよ。」
　スズキ警部は資料を机の上に置く。いかにも頭よさそうな男の顔だ。
「２ヶ月半ほど前に奥さんが、届け出ていました。２週間も連絡がないのはおかしいということで。ただ同僚の証言で１２月２日までは生きていた確認が取れています。」
　ヤグチ刑事が説明をする。
「男は死後三ヶ月、失踪した時期とほぼ一致しています。死んだ直後にあの土地に埋められたのは確かなようです。ただ、鑑識によると少し腐敗が遅いということのようです。」
　
　そして容疑者が上がった。タカハシの愛人のオノデラユキコである。彼女は２７歳のバリバリのキャリアウーマンであるが、最近までタカハシが既婚者であることを知らずにつきあっていたらしい。
「ええ、彼とは付き合ってました。私は彼が独身だと思っていましたので。」
「でも既婚者だった。」
「そうです。だから別れました。事実を知った半年ほど前です。」
　三ヶ月前を調べたところ、彼女はアメリカに出張のため成田から１２月３日の朝一番に出発したという。帰ってきたのは一月前。妙に堅固なアリバイだ。
「もう、いいですか？仕事があるんです。」
　彼女はそういうと承諾も得ないまま車に乗っていってしまった。

「容疑者が一人しかいないがそいつにはアリバイがある・・・か。」
私はひとりごちた。棚が妙にきれいだ。サツキが鉢植えをおいているようだ。
私の頭に天啓のように推論が組み立てられていく。
「ヤグチさん、これは推論ですが・・・。」
　私の推論を聞くとヤグチ刑事は言った。
「もしそうだとすると証拠が出てくる可能性のある場所が２箇所あるぞ。」
　目の前が明るくなっていくような気がした。

問題：むた刑事が組み立てた推論はどのようなものか。
ヤグチ刑事が言う証拠とは何か、また証拠が出てくる可能性のある場所は？


むたさん、おはようございます。

堅固なアリバイというのは殺害は可能でも埋めに行く時間が無いという事ですよね。
ならば、予め土を自宅に持ってきておき、殺害後そこ（巨大鉢植え？）に埋めて、巨大冷蔵庫に保管する。
アメリカから帰国後、土ごと栃木県の山中に埋めた、ということでしょうか。
自宅と運搬に使用した車からその土が証拠として出てくる可能性がある。

女性の単独犯としては、かなり無理がありますけどね。


「死んだ直後にあの土地に埋められたのは確かなようです。」
の根拠は何だろう？
土が固まっていたら長時間埋まっていた証拠になるが
雨で流されてでてきた死体だし

「腐敗の進み具合」とか
「体に土が染み込んでる」とか
その根拠がわかれば、それに合わせた偽装は考えられるかな

正解ではないと思うが
雨ででてくるくらいだから死体はごく浅く埋められていた
殺す前に穴を掘っておけば
死体を落とし、土をかけるだけなら時間もかからない
１２月３日の出発前でも時間的に可能な気はする



レスをどうも。
小ばかさん
　巨大鉢植えを作ったのは正解です。証拠が土というのも正解です。でも巨大冷蔵庫は使ってません。鑑識が三ヶ月と特定できたなのに腐敗が比較的遅い理由を考えてみてください。あと少しです。
　普通のご家庭にあるもので鉢植えは作れます。

斑猫さん
　鑑識がそういってる以上、腐敗の進み具合や体や体内から検出された土から判断されていると考えてください。このあたりはいちいち言わなくても想像力で出てくると思いますよ。
　それから雨で出てきたからといってそんなに浅く埋められたわけではないです。山の雨は地すべりくらい簡単に起こすんですから。時間の経過をよく考えてください。まして栃木県のＮ市ですからね。
　土をかけるにしてもよく考えてください。またむた刑事の管轄からこの女性が都内に暮らしてること、同僚が被害者と2日に会っていることから仕事が終わった後に殺されてること。仕事が終わって殺して車があるとはいえ東京→栃木→成田の移動はかなりきついと思われます。そんな無理をしなくてもこのトリックは成立するようにしています。


むたさん　どうも

「死んだ直後にあの土地に埋められたのは確かなようです。」
の根拠を知りたかったのは
この鑑識の意見だけが
「死体は近所の地面に埋めておき
　帰国後、栃木県Ｎ市に埋めなおした」
という推理を否定するからです
想像力で補うならば
Ｎ市のその土地の土壌だけ特別な成分があり
死体に三ヶ月分染み込んでいたというところでしょうか？
それならばオノデラユキコはその土を事前に入手することで
埋められていた場所を偽装できますね
でも巨大鉢植えですか・・・・うーん

あと、埋める時間あった説ですけど
>それから雨で出てきたからといってそんなに浅く埋められたわけではないです。
>山の雨は地すべりくらい簡単に起こすんですから。
ユキコは一ヶ月くらいで死体が見つかってほしかったんですから
地すべりを期待したとしても、そう深く埋めるはずはないと思います

「同僚の証言で１２月２日までは生きていた確認が取れています。」
と「２日は勤務時間終了まで同僚といた」は違うと思います
生きていた確認は電話で話せばできますし
朝会ったきりだったかもしれません
２日が平日であったとも説明されていませんから
「仕事が終わった後に殺されてる」というのも
問題文からはわかりません

キャリアウーマンのオノデラユキコの職場が東京にあれば
むた刑事がユキコに事情を聞きにいってもおかしくないですね
ユキコの自宅の場所もタカハシの職場の場所も書かれていないので
どちらも栃木にあれば
「車があるとはいえ東京→栃木→成田の移動」
というのが栃木→成田だけになります。

これは別に揚げ足取りで言ってるのではありません
むたさんが　ミスリードとして明言していなかったのなら
それに引っかかったことになります　笑ってやってください



　どもです。色々考えてくださったようで申し訳ないです。ただあまり細かく考えると逆に答えは出なくなりますよ。私自身が大雑把な人間なので、ある程度はお約束でお願いします。
　それから、ユキコは死体を見つかりたかったわけではなく、結果的に一ヶ月で出てきてしまっただけです。女性が掘ったのですから逆によく持ったという感じではありますが。
　要するに巨大鉢植えというのは、一箇所に土をためてそこに死体を入れておいたんです。そこがどこか。それが答えです。一応2箇所、むた刑事は可能性として考えています。


　よく見たら小ばかさんの答えは冷蔵庫を抜かせば正解でした。
そうです、土が出てくる可能性のある場所は車のトランクです。もう一箇所は・・・一応上げておくと湯船です。ただ湯船から車まで死体を移動させるのは女性には無理がありますね。
解決編へ続く。


「君じゃない誰かでも生きていけるけど
月のないこの風景は物足りないでしょう♪」
（拝郷メイコ「ミチカケ」より）

「ユキコさん、あなたのトリックに気づきましたよ。」
　私は彼女に言った。いつもそうだが、あまり気持ちのいい時間ではない。
「そのトリックとは？」
「殺害したのは12月2日の夜ですね？」
　彼女は先を促す。できれば本人の口に語らせたいのだが。
「おそらく、彼を車で迎えに行き、殺害した。」
　ユキコ無言。
「倒れた死体をトランクに押し込んだ。トランクにはＮ市の山の土を事前に集めておいた。彼が既婚者である事実がわかったときから、殺害のときまでの三ヶ月をかけて。」
　そして駐車場か車庫に車を放置しておけば、三ヶ月かけて土は死体にしみこむ。だがトランクの中に雨は入ってこないため通常の山に埋めたよりも腐敗が遅れた。
「そして帰ってきてから死体をＮ市まで埋めに行った。」
「・・・・そこまで解っているなら、なぜ有無を言わさず逮捕しないのですか？」
「・・・・あなたほどの方がなぜ、あのような男に引っかかってしまったんですか？」
　ユキコはタバコに火をつけて搾り出すような声を出した。
「むたさん、あなたは子供のころ何といってほめられてました？」
「バカとかクソガキとか言われてましたが？」
「・・・あたしは頭がいいといわれてました・・・・可愛いといわれたことはなかったんです・・・・。」
　甘い言葉に嘘とわかっていても乗ってしまったのか・・・・。
「オノデラさん、あなたを逮捕します。取調室では自供していただけますか？」
　彼女は小さくうなづくとパトカーの後部のドアを開けた。


＞キャリアウーマンのオノデラユキコの職場が東京にあれば
＞むた刑事がユキコに事情を聞きにいってもおかしくないですね
＞ユキコの自宅の場所もタカハシの職場の場所も書かれていないので
＞どちらも栃木にあれば
＞「車があるとはいえ東京→栃木→成田の移動」
＞というのが栃木→成田だけになります。

　もしこうなら栃木県警がいちいち管轄外の警察に協力を要請することはないでしょう。問題を成立させるには前提があります。その前提までいちいち説明が必要になったら文章を何百行書いても足りません。せっかく細かく読んでいるのですから文章の流れをつかむ作業をしてはいかがですかね？


※　問題中に使用されている人名、地域名、会社名、組織名、製品名、イベントなどは架空のものであり、実在に存在するものを示すものではありません。