夜の中
むた ◆6YgQymWc (2004/11/13(Sat) 19:00:36)
お久しぶりです。アイデアが出来るとやってくるむた刑事です。シリーズ6回目だったかな。趣味に走るのはいい加減何とかしなくては(−−)。ではでは。
「水色の爪 上手に塗れた 小さいころに憧れたもの 大人になるのは 案外簡単で 思ったより痛くもなかった♪」(排郷メイコ「よるのなか」より)
私の前に今、一人の女性がいる。といってもデートではない。今日、一人の女性を逮捕したのだ。その女性を前に憂鬱な気分になっている。
「私があの男を殺しました。」
いきなりやってきて開口一番自首したまだ少女と言っていい明美(仮名)を前に私は面食らった。あの男は凍死したのだが・・・。大体なぜこの男を彼女が殺さねばならないのか。
「10年前、私が10歳のとき繁華街で父が殺されました。裁判では酔っ払い同士の喧嘩と言うことで傷害致死になりましたが。」
傷害致死と殺人では犯人にとって結果は天と地ほど違う。前者は最高刑7年だから、普通にしてればもう刑務所から出ている。被害者にとっては結果は同じことなのだが・・・・。
「その男が繁華街で飲んで、あたりの人に絡んだりしてるのを見て怒りを感じました。この男は殺すしかない。それで・・・後をつけて酔っ払って寝てるあいつの口に睡眠薬を流し込みました。」
「なぜ、睡眠薬を持っていたんだ?」
「父が殺されて以来、不眠症になっていたからです。外出のときも不安なのでいつも持ち歩いているんです。」
そして寝入ってしまった被害者は明け方に降った折からの雨に体温を奪われて凍死してしまったというわけだ。お酒を飲んだ後はただでさえ体温を奪われやすい。悪条件が重なったのであろう。死体は引っかき傷があちこちにあった。しかし・・・。
「それが何を意味しているかわかっているね?」
彼女は石のような表情でいる。そしてそれ以上しゃべらない。
「鑑識の結果は明日には出るそうだ。」
上司のスズキ警部がいう。事務的な声だ。
「まあ、彼女の言う薬の成分がでれば手続きに入らねばならんな。・・・同情する気持ちはわからんではないが、仕事はちゃんとしようや。」
「いや、一つ解せないことがあるんです・・・。そういえばヤグチ先輩はどこいかれたんですか?」
「そろそろ、連絡があるはずだが・・・おお、きたきた。」
警部の携帯がなった。警部がそれを取ってなにやら難しい顔で話している・・・。そして電話を切るとにやりと笑っていった。
「むた、お前さんの望んだ結果になるかも知れんぞ。」
「え?」
「もしかしたら、あの子は不起訴処分になるか、最悪でも書類送検で収まるかもしれんと言うことさ。早く伝えて来い。」
私は理由を聞くと急いで取調室に走り出した。
問題:ヤグチ刑事は警部にどんな知らせをしたのだろうか?
キョウ (2004/11/13(Sat) 20:19:04)
むた刑事どうも。
全く解りませんが、閃きで、
死体の口の中に睡眠薬が残っており、体内には入っていなかった。
従って、睡眠薬が死因にはならなかった。
ポケ (2004/11/13(Sat) 20:28:56)
アルコールと一緒に摂取すると効果が無い睡眠薬だったので(そんなんあるのか?)おっさんがただ単に酔って寝ていたと言うことになった。
アルコールと薬って一緒に摂ってはいけないというイメージがあるのでこんな答えが出ましたが、そんなことがあるのかはわかりません。
aki ◆jBIV3jeY (2004/11/13(Sat) 21:01:10)
こんばんわ。
酔っ払っていた被害者は、飲まされた睡眠薬を
すぐに吐き出してしまっていた。
> 死体は引っかき傷があちこちにあった。
これが気になるので、自信は無しですが…。
単に喧嘩の傷ならば良いのですが…。
いかがでしょ。
BBQ ◆ldOOTsV6 (2004/11/13(Sat) 21:05:06)
すでに別の睡眠薬で眠っていたところだった、とか。(自信は無いです)
(追記)
もうちょっとマシな回答を思いつきました。
睡眠薬の成分が胃の中に残っていた。
つまり睡眠薬がはたらく前に凍死していた、ということで。
むた ◆6YgQymWc (2004/11/13(Sat) 21:21:01)
レスありがとう。ヒントをだすと結構簡単にわかるんですが。最大のヒントになるのはこの文章です。
「父が殺されて以来、不眠症になっていたからです。外出のときも不安なのでいつも持ち歩いているんです。」
一応彼女が飲ませた睡眠薬は体内に入ったとお考えください。その上で刑事たちが不起訴か書類送検と判断する情報がヤグチ刑事からもたらされたと。ではまた。後編も文章にしようかしら?
BBQ ◆ldOOTsV6 (2004/11/13(Sat) 21:32:15)
じゃ、今度こそ正解狙いでいきます。
女性は不眠症ではなく精神病だった。
(医者は本人には不眠症と伝えていた)
つまり女性が持ち歩いていたのは本当は精神安定剤だった。
それを飲ませたことにより男は死亡したが、
責任能力がないと鑑定されれば有罪にはならない。
aki ◆jBIV3jeY (2004/11/13(Sat) 21:43:28)
なるほど。
納得です。
睡眠薬を持ち歩くって変ですものね f(^-^;
むた ◆6YgQymWc (2004/11/13(Sat) 21:41:19)
えーと、鑑識の結果は明日出ると警部が言っているように、まだ刑事たちは知りません。でまあ、文章から見ると一見精神安定剤のようですが、確かにこの女性は不眠症で責任能力はあります。
aki ◆jBIV3jeY (2004/11/13(Sat) 21:46:55)
Σ( ̄□ ̄||ι)
納得したのに、違った(笑
ヤグチ刑事は病院に行っていた。
で、被害者が一命をとりとめたことを知った。
…違いますね、出直してきます。
むた ◆6YgQymWc (2004/11/13(Sat) 22:00:09)
暇人のむたです。たびたびどうも。ヤグチさんがどこいってたのかから考えてもいいかもしれませんね。では。
aki ◆jBIV3jeY (2004/11/13(Sat) 22:23:09)
何度もすみません。
読み返したらちょっと気になる箇所が。
> 10年前、私が10歳のとき繁華街で父が殺されました。
もしかしたら、まだ誕生日を迎えておらず、19歳?
処罰は少年法となる。でしょうか?
詳しくは知らないので、当てずっぽうですが。
むた ◆6YgQymWc (2004/11/13(Sat) 22:35:13)
その疑問については、
「それが何を意味しているかわかっているね?」と言う言葉で返してみたり。
この台詞は「君は20歳なのだから犯罪者だよ?」と言う意味で使われています。仮にも取調べしてますので、年齢などは最初の段階で調べられるそうです。
SHO ◆CmsSI6uc (2004/11/13(Sat) 22:38:09)
ども。よくわかりませんが、解答を。
引っかき傷が残っていたということから、寝てるところを、他の誰かに刺された、とか?
違うな〜、多分。
むた ◆6YgQymWc (2004/11/13(Sat) 22:50:39)
刺された場合は死因は凍死ではなくなりますし引っかき傷程度ではすまないでしょう。何より不起訴処分にはならないでしょう。一回整理してみましょうか?
死因:凍死
女性の証言:酔って寝入ったところに無理やり、睡眠薬を流し込んだ。
鑑識結果:まだ出ていない。(明日結果が出る)
不起訴等の判断:ヤグチ刑事からの報告を受けて警部が判断した。
たまりんど ◆sQo0TVbY (2004/11/14(Sun) 17:37:01)
睡眠薬と一口にいっても色々な種類がありますよね、
多分彼女が持っていた睡眠薬は即効性のものであり効果のある時間が限られた種類だったのでしょう。
被害者の体中に擦り傷があったことから彼が一度起きた可能性があります。
一度起きて転んだかしたのでしょう。ということは睡眠薬の効果が切れたあと彼は死亡したことになり彼女は何の責任もありません。
こんなところだと思います
むた ◆6YgQymWc (2004/11/14(Sun) 20:16:49)
結構どきどきしながら読んでるむたです。こんばんわ。一応薬剤師の姉に矛盾のないようチェックしてもらってから書きましたが、薬の知識が僕自身がないため色々な回答が出ているようです。それぞれストーリーに矛盾がなければ別解でもよろしいのですが・・・。
えーと条件追加します。擦り傷ではなく、引っかき傷は胸や背中を中心に出来ています。それから、ヤグチ刑事がもたらした情報は明美さん自体も知らない彼女にかかわる事実です。余計難しくなったかな・・・。では(−−)/
Yuko ◆XiUp6Whg (2004/11/15(Mon) 00:00:26)
むたさん、こんばんは。おひさしぶりです。
うーん、むずかしいですね…。
いろいろ考えるんですけど、矛盾しちゃってダメです。
もしかして明美は解離性同一性障害(いわゆる多重人格)で、
被害者を狙っているうちに逆に襲われそうになった。もしくは襲われた。
しかし別人格の時なので、明美本人はそのことを知らない。
すり傷は、その時の抵抗でつけられたもの。
その過程のどこかで人格が明美本人に戻り、被害者に睡眠薬を飲ませた。
もしくは、明美は襲われたが、ショックでその時の記憶が消えている。
睡眠薬を飲ませる前後の記憶しかない。
前者も後者も、実は被害を受けたのは明美で、これは正当防衛の範囲である、
よって不起訴、となる…のかな?(そういう時って不起訴になるのか知らないんですが)
凍死するような日なのに、被害者に傷があるのが不思議で、このような結論になりました。
厚着してるはずだから、ちょっともみあったくらいでは皮膚に傷はつけられませんよね。
むた ◆6YgQymWc (2004/11/15(Mon) 06:40:34)
そうですYOKOさん、実は彼女は襲われた、つまりレイプされたのです。(本当は解決編で明かそうと思っていたんですけど・・・。)彼女は二重人格ではありません。20歳の女の子にとってレイプという事実はショックだったので言わなかっただけです。(本編の「石のような顔」はそれを示しています。)
彼女は嘘は言ってません。でも語ってないことがあっただけです。そして彼女が知らない事実が今彼女を救おうとしています。その事実を当ててくださいませ皆様。
注記:凍死とは心臓の血管が急激な温度差によって収縮することにより発生します。夏でも物語のような状況では発生は珍しくないそうです。ただここでは、激しいもみあいや物語に厚みを出させるためにレイプを加味しました。
TK4 (2004/11/15(Mon) 09:30:51)
となると・・・う〜ん・・・
ちょっとまとめつつ書いてみます。
死因:凍死
女性の証言:酔って寝入ったところに無理やり、睡眠薬を流し込んだ。
鑑識結果:まだ出ていない。(明日結果が出る)
不起訴等の判断:ヤグチ刑事からの報告を受けて警部が判断した。
実は彼女はレイプされた。
そして、彼女は嘘はついていない・・・
そして、彼女も知らない彼女に係わる事実・・・
う〜ん・・・
もしかしたら、これですかねぇ・・・
女性は、被害者にレイプされました。
そして、嘘はついていないと言う事からも、父親の件も事実なのでしょう。
それが、相互して彼女は「酔い潰れて寝ている」被害者に睡眠薬を飲ませ、凍死させた訳です。
この状況で、彼女が知らず、そして彼女の罪を隠してしまう事象。
それがあるとしたら、ただ一つではないでしょうか?
そう、それは前記「」内のフレーズに掛かってきます。
もしかしたら被害者は、「酔い潰れて寝ている」のでは無いのではないでしょうか?
そう、それは「常用している睡眠薬によって寝ていた」のではなかったのでしょうか?
そしてそれは、「女性の常備していた睡眠薬と同種のものであった」のでしょう。
これならば、鑑識の結果を待たずとも分かり得る事であります。
また、彼女が飲ませた分の効果は「睡眠薬の過剰摂取による死」ではなく、「凍死」である為不問になると言う事ではないでしょうか?
実際には(自白も絡めてしまえば)そういった事にはならないでしょうが・・・
つまり、「被害者自身も、飲まされた睡眠薬を常用しており、その晩も睡眠薬を摂取していた事実があった」のではないでしょうか?
Yuko ◆XiUp6Whg (2004/11/15(Mon) 10:54:25)
むたさん、こんにちは。レスありがとうございました。
襲われた事実は、推理に直接の関係はないということですね。
せっかく続編で書こうと思ってらしたのに、すみません。フライング…。
推理ですが、こんなのはどうでしょうか。
「明美が持っていた睡眠薬は、実は偽薬(効果がない薬)だった」
お父さんの事件以来の不眠症、ということは、彼女が10才の頃からです。
子供に睡眠薬を常用させていいものか、と考えた医師は、偽薬による
プラシーボ(暗示)を試してみた。すると効果があったので、それ以来ずっと
偽薬を処方してきた。それを明美は睡眠薬と思い込んで…。
ヤグチは明美が通院しているクリニックでそのことを聞き、
実際に使ったという薬を鑑定し、結論を得た。
ちょっと飛びすぎ?
むた#思考錯誤 (2004/11/15(Mon) 12:46:43)
正解です。準備したとおりの答えです。解答編書くよう準備しますので夜までお待ち下さい。では。
BBQ ◆ldOOTsV6 (2004/11/15(Mon) 12:53:36)
むたさん、トリップ!
(追記)
一応惜しかったみたいですね。残念です。
薬が睡眠薬じゃなかったあたり、
医者が嘘ついてたあたり。
むた ◆kcDlbZO6 (2004/11/15(Mon) 18:52:54)
トリップ変えなきゃ。これで大丈夫かな?解決編はもう少し待ってね。
むた ◆kcDlbZO6 (2004/11/15(Mon) 22:59:49)
「尊い光でこんな私を照らしてよ もろい価値観に加え安い栄光の夢抱いてる 冷たくなった体 戻せるのなら 桜の頃に 桜の頃に♪」(拝郷メイコ「桜の頃に」より)
私は走り出した。そこにヤグチ刑事が帰って来た。
「むた、明美さんのところに行くのか?」
「はい!すぐに知らせないと!」
私はあわてて立ち止まる。ヤグチ刑事は何やら難しい顔をしている。
「警部、私から話してよろしいでしょうか?」
理由を聞いて、警部は困った顔でうなずいた。
明美は相変わらず石のような顔をしている。ヤグチ刑事は言葉を選びながら切り出した。
「明美さん、ずいぶんと無理をしたようだね。」
「・・・・・」
「さっき、君の主治医に話を聞いてきた。睡眠薬のことだが・・・あれは偽薬・・・プラシーボだっけか・・・そう証言したよ。」
え?という顔をする明美にヤグチ刑事は話を続ける。
「君が不眠症になった10歳くらいの子供や長年睡眠薬を服用してる患者には免疫や副作用のことを考慮して処方するんだ。君の薬もそうだった・・・つまり君があの男に飲ませたものはまあ小麦粉みたいなものだそうだ・・・。つまり君の犯罪そのものが存在しないことになってね。おそらく不起訴処分になるだろう・・・。」
いくら、殺意を持っていても毒でないものを飲ませたら殺人罪が適用できないのは当然のことだろう。彼女は不作為犯ということだ。
「そういうことなんでな・・・できれば・・・辛いだろうが・・・あの日あったことを話してくれるかね?・・・全てでなくてもいいんだが・・・その・・・。」
聞いてるこちらが辛くなるような絞り出すような声を出すヤグチ刑事。だが、私はさらに正視できない物を明美に見た。明美は硬直したようなそのままの姿勢で泣いていた。声も立てずに・・・。そして両手で顔を覆うとつぶやくように言った。
「なぜ、わかったのですか?私が・・・レイプされたことを!」
「・・・・」
「あの日・・・後をつけました・・・殺す気なんかじゃなかった・・・父のことでただわびて欲しかった・・・それで後をつけたんです・・・」
酔っ払って人を殺す男にそんなことをするなんて無謀すぎる。彼女もそれだけ必死だったのだろうが・・・・。
「でも・・・馬鹿ですよね・・・こんな目にあって・・・しかも・・・敵をうとうとしたら・・・小麦粉だったなんて・・・。」
「そうじゃない!」
私は思わず叫んでいた。ヤグチ刑事が驚いて私を振り返る。
「あいつは手を下さなくても死んでたんだ!でも一服もってたら君は犯罪者だったんだ!でもそうじゃなかったんだ!なぜわかってくれないんだ?」
「そうだな・・・・君は10年間、世間の冷たさにもまけずに歪まずにきたんだ。小麦粉に入れ替えたのは・・・親父さんがすりかえたのかも知れんな・・・。」
彼女は両手で顔を覆ったままその場に崩れ落ちた。
彼女が去った後の椅子を見つめながら、私はつぶやいた。
「彼女立ち直れますかね?」
「さあなー。俺たちにできることはここまでなんだが・・・。まあ前科にならないことを喜ぼうや。まさか裁判所もレイプした男を助けなかった罪でレイプされた女を罰するほど無粋でもあるまい・・・。」
鑑識の結果、男の体からは睡眠薬の成分は検出されなかった。そして下着からは精液滓が見つかった。不起訴になったことは言うまでもない。
Yuko ◆XiUp6Whg (2004/11/16(Tue) 22:41:03)
むたさん、おつかれさまでした。
たまたま当たりましたが、
ヒントがなかったら多分分からなかったと思います。
解決編を読んで改めて深い物語だ〜と感心させられました。
ありがとうございました!
(済)
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