ダイイング・メッセージ

ぱんぷきん　(2003/04/22(Tue) 21:56:12)

……私が親友である五十嵐謙三の最期の声を聞いたのは、確かに轟々と雨がガラスを叩いていた夜だったように記憶している。雲の無い、重苦しい、まるで押し潰されてしまいそうな……たまに遠くから響く雷鳴がより一層大きく聞こえて、ベッドから上半身を起こした……確かそう、深夜２時頃。ちょうど電話のベルが鳴った。
「もしもし」
私が眠い目をこすりながら近くにあるコードレス受話器を取る。電話番号の判る機能で、相手が五十嵐だということはすぐに判った。
「……もしもし？　五十嵐か？」
電話の向こうには沈黙しかなかった。私は直感的に、何か大変なことがあったのだと感じた。私は大声で安否を問うた。その声で隣に寝ていた妻の小百合も目を覚ました。
少しすると、激しい息遣いのような声が受話器から漏れるようになっていた。部屋の電気は深夜というのに点けられて（小百合が気を利かせた）、私の後ろにはガウンを羽織った小百合が心配そうな顔でこちらを見ていた。
「秋岡……」
それは確かに私の名前を呼ぶ親友の声だった。しかしいつものような張りのある響く声ではなくて、まるで弱々しい、今にも倒れそうな震えた声だった。
「五十嵐、どうし……」
私は叫ぶのを止めた。親友が何かを呟いているように聞こえたからだ。私は小百合に目で合図をして、その言葉をメモに取るように指示した。
「１……１……２……０……」
私は彼の言った数字を反復して、メモを取ったのを確認してから、何があったのか親友に尋ねようと何回も彼に呼びかけた。
返答は無かった。さらに雨は強まって、次第に大きくなる私の声を掻き消さんばかりだった。結局、それが我が親友、五十嵐謙三の最期の声だったのだ。


私も詳しくは知らないが、我が親友はナイフで腰の辺りを刺されたことによる出血多量で死んだらしかった。死亡推定時刻は２時少しすぎ。やはり、あれが彼の最期の声だったというわけか。聞いた所によれば、刺されたのは１時間ほど前だったらしく、相当長い時間彼は気絶していたらしい。神の悪戯なのか、死ぬ直前に意識を取り戻して、私の所に電話を掛けてきたようなのである。
……彼が死んでから少し時間が経ったので、私は彼の家へ行ってみることにした。彼は一人暮らしだったが、幸い別れた妻との娘の意思により部屋はきれいに整頓されていて、殆ど何も変わっていなかった。少し変わったとすれば、あんなに汚かった、がさつな彼の性格を映した鏡ともいえる机が、本来の役目を取り戻したかのごとくきれいになっていることだった。
……そういえば。
私は最期に彼が言った４桁の数字に心当たりがあった。以前机の比較的大きな引出しの中に小さな錆びついた金庫のような利休鼠の箱があって、彼にそれを開けるように頼むと、決まって笑って拒否されたものだ。「俺が死ぬまではダメだ」と。
私はもしかしたら、と思った。彼の引出しは以前の数倍は整理されていて、例の箱もすぐに見つけることができた。彼が残した数字を、それに入れていく。
……それはあっけないほど簡単に開いた。中の暗黒の中に一筋光るそれがあった。真っ白な紙が、彼には珍しくきちんと折って入れてあった。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

窓を開け気持ちよい　　和音かメロディ流れて
美佐子ゆうには　　海がもう嫌で陸に来たらしい
さあ道産子着ろと　その差練ればとても
きっとまた生き返るん。

・のちのらみみしちくなかちかな

　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜五十嵐.Ｋ＞
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

その箱は引き出しに固定されていたから、警察も諦めたのであろう。今考えれば諦めて帰ってしまい、この手紙が残っている事は奇跡としか言いようが無いのだが。
私はその手紙を家に持ち帰った。そして、その意味不明な文面を何度も読み返した。あの日の雨は嘘だったかのように、最近の空はご機嫌のようで、日曜日はベランダに小百合が毎晩着るお気に入りのカーディガンが揺れていた。
金庫に入れているのだから、こんな暗号にすることも無いだろうに。私は自室のリクライニング・チェアに腰掛けて、眼鏡をかけそれとにらめっこを始めた。
文中の美佐子というのは、五十嵐の娘の名前だったはずだ。佐々木美佐子。確か数年前に
別れた妻の名は佐々木由美といったはずだ。飲みに行くと、彼は決まってこの話題を持ち出したから、名前はとうに焼きついてしまっていた。２人とも、先日の葬儀に黒い着物で来ていた……２人とも美しかった。何故別れたのかは、彼は最期まで話してくれなかった。
チェアに揺れながら、私は色々な事を試していた。とりあえず一部判った場所はあるのだが、その意味もわからない。私は溜息を吐いて……。
ふっと脳裏にそれが過ぎった。あの４桁の数字の意味、最後が０になっているのは……。
私は部屋を見渡した。面倒くさくて本が突っ込んである本棚、ビンもカンも適当に入っているゴミ箱、めくるのが面倒で１年の日付が大きく記されたカレンダー、そして私達夫婦の写真立て。
……ああ。
判ってしまったのかもしれない。私は彼のメッセージを。
彼は死ぬ事を予期していたのだ……その人物によって。
記されたその偶然はもはや悲しみとしかいえなかった。
私は頭に手を当てて、メッセージをもう１度読んだ。
犯人は……。




少し長くなりましたが、お暇な方はお答えください＾＾
きっとアンフェアには当たらないと……思います。
知識問題ではないです。きっと。

あ、文章の拙劣さにはご勘弁を…m(__)m



どなたか……(>_<)



今日はです♪

只今、考え中なのですが…（＞＿＜；ん〜〜〜っと魘され中です（苦笑）★
何となく、キーらしきものの意味は解ったと思うのですが、
さっぱり前に進みません（；＿；）
頑張って考えさせて頂きます！ｐ（＾Ｏ＾）ｑ



＞のちのらみみしちくなかちかな
今のところ解けてるのはこれだけです。



どうも♪
その羅列はあくまでもヒントですので♪
ちなみにヒントは文章中にも紛れているかも……(>_<)




わかりません。けど、
状況から考えると小百合かな？
五十嵐とは親友なのに、そのまま犯人の名前を伝えなかった。
ということは聞かれているということである。
つまり、会話を聞いていた唯一の人物小百合かな？


ヤマトさん＞
今はなんともいえませんが……推理力さすがですね(^o^)

じゃあヒント……。
「１１２０」は「０２１１」にして解いて下さい♪


どもども

難しいです。

「０２１１」
カレンダーから考えると「建国記念日」
携帯電話で考えると「わかい」

どうにも、解読の方向が絞り込めません。

ヒント待ちで…。ｄ（＾　＾；）


どらさん＞
いいトコついてますね(^^)　もう少しで解けます♪
ヒントは文章の中にも紛れてますんで、面倒でも読んでいただけるとうれしいです。

ちなみにそこまで判ったら、使うのは文字の羅列、暗号文下の簡単な暗号＝ヒントです。



秋岡小百合にころされる。

すっきりしました♪
美しい暗号ですね♪

少し訂正(「秋岡」を加えました)


うわぁ〜（＞＿＜）
私もやっと、どらさんと葉蔵さんのスレで解りました
私もすっきり致しました☆
解答編を楽しみにしています（＾Ｏ＾）／



解答編も書こうと思ったんですけど、どうにも書けないので説明だけ^^;

五十嵐の遺した手紙の入っていた番号「１１２０」は逆に「０２１１」と考えます。これは簡単に暗号がわからないための保険になっています。
「０２１１」、つまり２月１１日は『建国記念の日』です。これを前提に暗号は解かれます。暗号下の意味不明の文字列、『のちのらみみしちくなかちかな』は判りますね？
パソコンでキー変換すると『かこんだふたつ』、つまり『囲んだ２つ』になります。
つまり、暗号文の『けんこくきねん』のそれぞれの文字を囲んでいる２つの文字を順に拾っていけばよいのです♪

〜
まどを『あ』＜け＞『き』もちよい　　わ『お』＜ん＞『か』めろでぃながれて
み『さ』＜こ＞『ゆ』うには　　　うみがもういやで『り』＜く＞『に』きたらしい
さあどさん『こ』＜き＞『ろ』と　　その『さ』＜ね＞『れ』ばとても
きっとまたいきかえ『る』＜ん＞『。』
〜

『あきおかさゆりにころされる。』
つまり、犯人は秋岡小百合です。

＜おまけ＞
１．この文章の中には、ヤマトさんの言ったこと以外にもう１つ伏線が張ってある暗号とは無関係な部分があります。それはどこでしょう？

２．文章の下のほう、『記された偶然』とは、暗号の解答に通じるヒントが偶然にも暗号文の中に隠されていることを意味しています。そこはどこでしょう？

暗号とは関係ありませんが、お暇な方はどうぞ。





おまけ１
解ったかも。
>最近の空はご機嫌のようで、日曜日はベランダに小百合が毎晩着るお気に入りのカーディガンが揺れていた。
このカーディガンは犯行に使ったときに血が付いたので洗濯したとか。
えー本来の暗号は解けなかったけど、地味なところに気づくヤマトでした(笑)。


おはよう御座います♪

解答編楽しみにしているとか、
書いてしまって済みません★
秋岡小百合さんと五十嵐謙三さんの関係が
何かあると思いましたので…（＾＾；
とても面白い小説の様な問題でした。

それで、おまけ問題ですが…
２．「０２１１」はちょうど五十嵐さんが
秋岡さんに電話した時間と一緒だったとか…！？
それと、解いている間にもしかして、
建国記念の日が結婚記念日とか知り合った日とか
なのかなぁ〜とかも思ってしまったのですが…（苦笑）。



暗号は解けませんでしたが、自分自身伏線張るのが好きなので読み取るのも好きです。

＜おまけ＞１．
＞その声で隣に寝ていた妻の小百合も目を覚ました。
うんぬんとありますから、電話がかかってきたとき犯人小百合は帰宅していた。
ですから、以下の文章だと思います。

＞死亡推定時刻は２時少しすぎ。やはり、あれが彼の最期の声だったというわけか。
＞聞いた所によれば、刺されたのは１時間ほど前だったらしく、相当長い時間彼は気絶していたらしい。
＞神の悪戯なのか、死ぬ直前に意識を取り戻して、私の所に電話を掛けてきたようなのである。
これがないと犯行が不可能です。

＜おまけ＞２．
＞面倒くさくて本が突っ込んである本棚、ビンもカンも適当に入っているゴミ箱、
＞めくるのが面倒で１年の日付が大きく記されたカレンダー、そして私達夫婦の写真立て。
（これは故意に入れたのかもしれませんが）カレンダー。
目に付いていましたが解けませんでした。

「１１２０を０２１１にする」というヒントの伏線なら、
＞少し変わったとすれば、あんなに汚かった、がさつな彼の性格を映した鏡ともいえる机が、
＞本来の役目を取り戻したかのごとくきれいになっていることだった。
これも「鏡」ということで考えられますがやや強引かも。

以上です。


こんにちは♪
『ボイス』見てきたぱんぷきんです。
ポップコーンＬＬサイズ一人で食べたら気持ち悪くて吐きそうになりましたｗ

岩名　杏奈サマ＞
小百合と謙三が不倫状態にあったことを解答編で書きたかったのですがｗ
筆力が足りませんな、自分……（戒
また長文問題懲りずに書きますんで、その時はｗ
で、答えですが、うーん……（汗
ぶっちゃけそれは適当にカレンダー見てて決めた数値なので、そのような設定はございません（死
まぁ、被害者の誕生日とでもいたしましょうかｗ
残念ながら違います(^^;

ヤマトさま＞
事件が起きてから少し時間が経ってますので、ちょっと違いますｗ
でも、最初ちらっと見たとき正解といいそうになりました。
相当いいトコまで近づいてます！

ロッキーさま＞
両方の解答ありがとうございますｗ
１つ目はちょっと違いますね｡｡｡それは故意に入れた『説明』ですんで。
伏線じゃあ無い……もっと、一見見過ごしそうな場所にある（と思います。自称）。
はぁ、描写が出来ないな……（死２

２つ目、カレンダーも故意に入れたヒントですｗ
何かしら手掛かりがないと答えは導き出せないと思ったので……。
机が鏡……そんな発想、僕には思いつきませんｗ
先述のように数値は適当、ひっくり返したのは難易度アップの為と言うずぼらなそれですんで、ごめんなさい、違いますm(__)m







今晩は♪
気持ち悪いのは大丈夫になったでしょうか？（＾＾）
またも懲りずにカキコ致します★

１．少しすると、激しい息遣いのような声が
受話器から漏れるようになっていた。

の部分が怪しい…と思ってみたのですが☆
１時間前に自分が刺した五十嵐さんからの電話だと
判った小百合さんは、刺した時に死んだと思っていても
おかしくないと思うのですが、自分の家に電話が
掛かって来たと言う事はまだ生きている事が判った訳ですから、
旦那さんにバレると思って秋岡さんがどんな状態で、
何を言うのかが気になって、オンフックを押したんだと思いました☆

これも的外れですかねぇ…（＾＾；



レスを参考にして再トライ。
＜おまけ＞１．
＞部屋の電気は深夜というのに点けられて（小百合が気を利かせた）
ＤＭを言い残す可能性にいち早く気づいた。
＞私の後ろにはガウンを羽織った小百合が心配そうな顔でこちらを見ていた。
毎晩お気に入りのカーディガンを着るんだとしたら、
ヤマトさんのおっしゃるように犯行に使ったので代わりにガウンを着ていた。

＜おまけ＞２．
＞「……もしもし？　五十嵐か？」
＞私は大声で安否を問うた。
＞「秋岡……」
＞それは確かに私の名前を呼ぶ親友の声だった。
犯人の名前を言ってますね。暗号の答えです。これですか？

前のレスについて。
【伏線】・・・あとで述べる事柄の準備として、前もってほのめかしておく事柄

となってますが、犯人が小百合でないなら『説明』が異常に長いですね。
小百合が犯人であるということを前提にした『説明』なら充分伏線だと思いますが、
いかがでしょうか？



レスありがとうございます！

ロッキーさま＞
そうです（汗　夜に気付いたんですが、それは伏線ですm(__)m
気持ち悪くて思考回路が爆発していたようです（ぉ
という訳で、前回も一応正解とさせていただきます♪

さらにさらに！
今回の解答、合っております(^^)
『カーディガン』を毎日来ていたのにその夜だけは『ガウン』を着ていた｡｡｡
何故か？　雨に濡れた、または血がついたので着替えたというのが自然でしょう。
おそらく夫に気付かれないように家を出る必要があったためか、カーディガンを羽織ったままこっそり行ったのでしょうね。

２は、それは『私』を呼んだ声だとしてください♪

岩名　杏奈サマ＞
オンフックは押してないんです……m(__)m
あくまで『私』の耳に聞こえてきたということですんで。
すみません、文章へたくそなのにこんなの書いてしまって……（謝×１００）
気持ち悪いのは治りましたが、食べすぎなのかその夜下痢で……。


ていうか、２の答えがしょうもない（爆）ので答えを発表します♪

暗号文の中で皆さんが目をつけていない所が一つあります。
そう、『署名』です。
「五十嵐Ｋ」をローマ字にして逆さまによんでください（日本式で）。
『如月』、つまり２月。建国記念日を連想させるヒントだったわけです。
『記された悲しい偶然』、それはつまり、自分の名前こそが暗号のヒントになってしまっていたということ。つまり、彼女に殺される事が運命だったかのように……。


しょうもないオチでごめんなさい（汗





今晩は♪

うわぁぁぁ〜☆☆☆
「ＩＧＡＲＡＳＩＫ」
↓
「ＫＩＳＡＲＡＧＩ」
は凄いですね！♪気付かなかった…。
感動しました（＊＾−＾＊）
また問題に参戦させて頂きますね☆




うん、僕もびっくりしました（ぉ
ほんとに偶然でしたからね（苦笑
感動して頂いて光栄です(>_<)　新しい問題にも是非チャレンジしてください！



済ですね


※　問題中に使用されている人名、地域名、会社名、組織名、製品名、イベントなどは架空のものであり、実在に存在するものを示すものではありません。