精神学論3
箱 (2004/10/01(Fri) 23:55:48)
「おい、そんなマネはよして、早く降りてこないか!」
「うるせぇ!俺はもう、何もかも失っちまったんだ!死ぬしかねぇんだよ!」
これは五階建ての建物の屋上と地上とのやり取りである。
今、まさに一人の男がその屋上から飛び降りようとしているのだ。男は警察の説得に応じず、拳銃を持っているのでうかつに近づけないという最悪の状況だった。
五階建ての建物の屋上は、金網のフェンスで囲われてはいるものの、大人ならすぐに乗り越えられる高さだった。
建物の窓からは、中にいる人が顔を出している。男は相変わらずわめいている。
「おい、やめろ、よせ、やめろ・・あっあっあー・・・」
男は一瞬、何かにおびえるように体をギグンと緊張させた。次の瞬間、男はバランスを失い、まっさかさまに落ちていった。
「なんてこった・・」刑事の一人がうめいた。男は地面で、真っ赤な花を咲かせていた・・。
数日後。
白石刑事「警部?どうしたんですか?」
石川警部「いや、この前の男の自殺のことでな・・」
白石「気にしないほうがいいですよ。頭のおかしくなった人間のやることは、理解できませんからねぇ」
石川「本当にあの男は頭がおかしかったのか?」
白石「さあ・・。今となっては・・。どうです?ちょうど今暇だし、男が飛び降りた建物に行ってみますか?」
五階建ての建物の応接間にて。この建物は、ある会社のものらしい。
専務「私がここの責任者です。今日こられたのは、この前の事件のことですか?」
石川「ええ。この会社は、あの男とどのような関係にあるのでしょうか?」
専務「それは前にも申しましたが・・。あの男は、事件の数週間前に解雇したのです」
石川「ほう、それでは、この会社に恨みをいだいていたのですね」
専務「はあ、まぁ、それはそうですが・・まったく、頭がどうかしていましたよ、あの男は」
石川「そうですね、この会社への恨みを晴らす、そして自分は自殺未遂者として大々的に報じられる。彼は、目立ちたかったのかもしれませんねぇ」
専務「はあ」
石川「誰か、あの男と仲がよかった者はいませんか?」
専務「ああ、それは営業の加藤君です」
加藤が部屋へ呼ばれる。
加藤「何でしょう?」
石川「少し、質問したいことがね。自殺した男は、どんなやつでした?」
加藤「あいつは、相当金に困っていたようです。それに、解雇されちゃって、かわいそうに。頭にきちゃったんですな」
石川「あなたは、男が飛び降りたとき、どこにいました?」
加藤「ただ、呆然と・・何も覚えていないんです」
石川「そうですか・・それと、ひとついっておきますがね、あの男が建物の屋上に到達するには、会社の内部を通らねばならない。誰にも怪しまれずにそれをやるには、仲間のサポートが必要だと考えられます」
加藤「何が言いたいんですか?男は屋上に外から鍵をかけてとびおりたんですよ?完璧な自殺じゃないですか」
石川「いえ、別に。おや、あなた、手に包帯を巻いてますね」
加藤「ちょっとお湯を沸かしていて、火傷してしまって・・」
屋上にて。
白石「何もみつかりませんねぇ・・。男が飛び降りたとき、ここは完全に密室だったわけだし・・」
石川「いや、収穫ありだ。みろ、このフェンスのところを」
石川警部が指差したフェンスは、一部分、塗装がはげていた。
石川「これ、何だか分かるか?誰かが故意に塗装をはがしたんだよ」
その数日後、加藤が男を殺害した容疑で逮捕された。
さて、男が自殺したと見せかけたトリックとは?
mino☆ (2004/10/02(Sat) 05:22:48)
犯人がフェンスに電流を流したのでは?
塗料が塗ってある部分には電流が流れないので、ある部分の
塗料を剥がしておいて、そこから電流を流し、被害者を感電させる。
ドアの外からでも、電線一本くらいなら通せるので、操作できるはず。
体を緊張させたのは、感電のショックだと思います。
う〜ん。まだ分からないところはあるのですが、
こういうところでしょうか?
「体を緊張させた」「塗装が剥がれていた」この2点から感電だと考えたのですが…。
ちょっと自信ないです(^^;
箱 (2004/10/02(Sat) 20:31:43)
mino☆さん・ややっ、どうやら瞬殺のようです。と、言うわけで正解です。
自殺しようとする男がいるならば、人々の視線はそちらに向く。したがって、男のいる方向とは反対のところには、誰も注意を向けません。加藤はそれを利用して、男に自殺演技の話を持ちかけ、誰も注目しない建物の裏から針金か何かをあらかじめ伸ばしておき、男がフェンスを乗り越えたところでスタンガンか何か(ここは少し適当)でフェンスに電流を流し、男を落としたのです。彼の火傷は、その時できたものです。
長い割にはすぐにやられた・・。また次回。
箱 (2004/10/02(Sat) 20:31:59)
ああ、済。
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