探偵事務所:失われた記憶
越智月久 (2004/07/20(Tue) 15:18:03)
目を覚ますと、大勢の人に囲まれている。
「あ、気が付いた。大丈夫ですか」
「あなたは……」
「あなたはって、僕達の顔を忘れたのですか」
「どうやら記憶喪失のようですね」
私の回りにいたのは、キョワ、こる、わかろのかにゃ博士、いちけん、
金令、へおん、等々……私の助手だという……名前もはっきり思い出せ
ないので、違っていたら申し訳ない。
そういえば自分の名前すら思い出せない。「記憶喪失ですね」と言った
のは見るからに医者という男。
さて、みんなは私を探偵だというが、私のような人間に、物事を的確に
捉えて判断することなど出来るのだろうか……そうか、ここにいるみんなが
手助けをしてくれて、私を支えてくれているのに違いない。
みんなの話では、町内の人と協力して何かの犯人を追っていて、ビルから
突き落とされ……倒れているのを発見されて病院へ運ばれたというのだ。
ポケットに入っていた紙切れ……助手のみんなの話によると、美しい
未亡人からの依頼があったらしい。オリエンテーリングが趣味だった夫が、
音羽山のハイキングコースのどこかに手がかりを残している。みんなは
その手がかりを確認に来て、私の事故に遭遇した訳だ。
君がため かささぎの わが庵は これやこの
名にしおはば ちはやぶる 吹くからに みちのくの
小倉山 天つ風 奥山に 秋の田の 春過ぎて
わびぬれば 花の色は 難波潟 このたびは
まだ頭がぼんやりしている。しばらく考えさせてもらおう。
いちにぃ (2004/07/20(Tue) 21:30:56)
こんにちは!最後の事件には泣かされましたよ・・・。
記憶喪失の治った暁には助手にしてもらおうかと思って参加したのですが
サッパリです^^;
これらは全て百人一首の詩の初句ですよね。
ここはこじつけなんですが
音羽山→おとわやま→音は山
と言うことで
小倉山に何かあるんでしょうか?
う〜ん・・百人一首が関係無くなってるし・・・
出直しますよ。
今昔亭 (2004/07/21(Wed) 01:33:59)
どーも。
探偵さんの記憶を取り戻してからのさらなる活躍を期待しつつ…
美しい未亡人の相談とあって少々強引に詠んでみました…。
「川越えて分かれ道にある吊り橋」?
くおん (2004/07/21(Wed) 02:46:47)
こんばんは。
へおん。。。じゃない。くおんです。
「かわこえではかれみぢにあるつりはし」
現代風に読んでたのでさっぱりでしたが、今昔亭さんの答え見て、あぁそうかと思いました。
越智月久 (2004/07/21(Wed) 08:42:29)
私はしばらく入院し、調査は助手のみんなに任せることにした。
入れられたのは4号室だ。前に入院していた患者は、縁起が悪いから安く
しろとごねたらしい。「喜ぶのよ」「幸せのし」と考えればいいのに、
心の狭い患者がいたものだ。看護婦さんが何人か交代で世話をしてくれる。
「優しそうな看護婦さんばかりで、ほっとしますよ」
「前にこの部屋にいた患者さんは、私をボブ・サップと呼んでました」
「そんな失礼な人がいるんですか。こんな愛らしい人を……」
「暗号が解けたと助手の人から連絡が入っていますよ」
「全て百人一首の歌ですね。百人一首はご存じの通り藤原定家が、小倉山
の山荘に色紙を貼るのために撰んだと言われています。せっかくですから
万葉集から新古今まで全部読み直しました。病院は暇ですることもないの
で、全部暗唱してしまいましたよ。
それで、暗号ですが、全て『百人一首』の歌です。便宜的におおよそ
古い順に番号が振ってありますが、たとえば1番は「秋の田の」で、その
歌を全部仮名で書いて、1文字目の「あ」を拾うようにするのです。
古典ですから、濁点はないものとして読めば、
かわこえてわかれみちにあるつりはし
(川越えて分かれ道にある吊り橋)
となります。実は助手のみんなには申し訳ないのですが、私は一目で
解いてしまいました。さっそく現地近くに住む知人に頼んで調べてもら
いました。吊り橋の案内看板の裏にこう彫られていたそうです。
能加清在挙袈裟 宿希先草久花占」
「七言の漢詩の一部ですか」
「これが次の暗号なのです……私は一目で分かりましたが、私の入院で
助手のみんなが寂しがっているでしょうから、解いてくれと連絡を入れ
ました。それにしてもパズルが好きでこんな謎を残して死ぬとは、なか
なか粋な人じゃありませんか。パズルが好きな人は頭脳明晰で知的好奇
心の豊かな人ばかりですからね」
ころ (2004/07/21(Wed) 10:55:39)
こんにちは。
こる。。。じゃない。ころです。
漢字を見ていると
「昔懐かし 梅の咲く里」(ムカシナツカシ ウメノサクサト)
が浮かんでくるのですが、
どうでしょうか。
越智月久 (2004/07/22(Thu) 08:01:10)
「あら、本が替わっていますね。今回の謎が漢詩風なので、せっかく
だから『唐詩選』全巻を読み通し、『論語』で人間の生き方を見直し
たい何て仰ってたのに」
「ええ、誰かに押し倒されて巴投げを掛けたと仰っていた若い看護婦
さんにお願いして取り替えてもらいました。漢詩は前に学んだ日本の
和歌の世界と自然観に対する認識が違って面白いですね。そこから
『徒然草』や『方丈記』、『歎異抄』といった、日本古来の神々の
世界に仏教、それも末法思想が加わった思想について見直したいと
思いましてね」
「そうですか……読み終わったら、また図書館で借りて来ましょうか」
「お願いします。今度はシェイクスピアとゲーテを読みたいですね
……出来れば原語のものを探してください」
「原語って……読めるんですか」
「英語は中学からやってますし、センター試験で英語より有利だと
いう噂を信じて、ドイツ語を1ヶ月ばかり勉強した経験があります
から、ゲーテくらいなら読めますよ。翻訳では微妙なニュアンスが
違うでしょうから、原典を読んでみたいので、お願いします」
何か看護婦さんの様子がおかしい。とまどっているように見える……
助手のころ君から解けたという連絡が入った。漢字の最初に書く
部分をカタカナとして拾うのだ。
能加清在挙袈裟 宿希先草久花占
ムカシナツカシ ウメノサクサト
問題のハイキングコースの近くに「万葉梅の里」という場所がある。
私は今回の場所について地図を開いてこのあたりの地形や名所、町や
村の名まで全て頭に入れたのだ。看護婦さんが面白がって世界地図を
借りて来てくれた。半日読んだが、私は頭が悪いので150ヶ国の名前
と首都、それぞれの国の300程の町の名くらいしか頭に残っていない。
とにかく近くの友人に連絡を取り、梅の里へ行ってもらった。
そこで見つかったのは、次のメモだった。
i96wo808e468kwj0uwe95wj9owo8e9o9jo0
易しい暗号で誰に聞く必要もないが、助手のみんなが寂しがって
いるだろうから、彼らに連絡して解いてくれとお願いしよう。
くおん (2004/07/23(Fri) 10:14:37)
おはようございます。
ふと、考えてると突然思いつきました。
「自宅、応接間の柱に隠し金庫」でしょうか?
キョウ (2004/07/23(Fri) 10:43:17)
越智さんどうも。キョワじゃなくてキョウです。
私もくおんさんと同様ですね。
それぞれ左下の文字に変換すればよいのですね。
くおんさん、お久しぶりです。
越智さんは、記憶喪失の振りをして、我々に未払いの報酬を
ごまかそうとしてますよ!
越智さん!変な小細工しても無駄ですよ!
過去に行こうが、未来に行こうが、戴くものは戴きますからね!
鈴 (2004/07/23(Fri) 12:53:33)
こんにちは!!
最後の事件・・よかったです!!!
金令って俺のことですか?面白い書き方ですな♪
さてさて、暗号は・・・・
くおんさんやキョウさん同じでございます
ではでは
越智月久 (2004/07/24(Sat) 08:51:39)
これはキーボードの打ち替えパズルだ。看護婦さんに図書館で
コンピューター関係の書籍を借りて来てもらった。本体を作製し、
プログラムを組む、その程度しか出来ないが、3時間ばかりの
学習ではその程度がやっとだろう。
さて、問題文のキーを左下に一つずつずらして打てばよい。すると、
i96wo808e468kwj0uwe95wj9owo8e9o9jo0
が、
jitakuousetumanohasiranikakusikinko
「自宅応接間の柱に隠し金庫」
となる。簡単すぎるので、助手のみんなもがっかりしているの
ではないかと心配している。さっそくくおん君に頼んで美しい
未亡人に連絡をしてもらった。どうも、今回の謎解きは私の記憶
喪失とは無関係だったらしい。
謝礼が出たので助手のみんなに分けたいが、病院の院長(なぜか
彼女も美しい未亡人なのだ)と相談して、入院費用として預ける
ことにした。助手のみんなには本当に申し訳ない。早く退院して
本格的に仕事に復帰したい。
※ 問題中に使用されている人名、地域名、会社名、組織名、製品名、イベントなどは架空のものであり、実在に存在するものを示すものではありません。