雪国の死
斑猫 ◆XMrov1pg (2005/01/02(Sun) 01:09:23)
ついに文学ミステリに挑戦 推理問題というより短編小説か
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「川端康成は嫌いなんだ。」
S氏は酔いがまわったのか饒舌だ。
「雪国ってあるだろ、新潟へ旅行した主人公が芸者と恋愛する話。
まったく陳腐なセンチメンタリズムだよ。
自殺した私の前妻が、死ぬ前の胸中を託したのがあの有名な雪国の冒頭さ。」
「『国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。』ですか。」
「前妻は使用人の娘でね。私が見初めた時はまだ16だった。
私はあいつの両親にすぐ結婚を承知させた。
あいつには反対する暇もなかったんだ。
普通の恋愛にずっと未練があったんだろうね。
まったくつまらん遺言もあったもんだ。
あいつは体が弱く、子供もできなかった。
それで親戚が私に新しい縁談をもってきた。
子供も生めない女房などさっさと離縁しろというんだ。
もともと親戚はみな結婚に反対だった、身分違いの学のない女だとね。
妻は連日のように実家に帰れと責められていたらしい。
冬のある日、妻は誰にも告げずに新潟行きの列車に乗った。
日本海にとびこもうとしていた妻を、地元の6歳の女の子が見つけてね。
妻はその子に私への遺言を頼んだんだ。
『雪国の冒頭を朗読してくれ、それが私の最期の気持ちだ』と。
前妻にとって私との結婚生活は、つらく長いトンネルみたいな物だった。
やっとそれを抜けても自分が来れたのはこの寒い雪国でしたとね。
まあそんなような意味だと思うね。4日後に妻の死体が海からあがったよ。」
「先ほどの前の奥様の話ですが。」
2軒目に寄ったスナックのカウンターで、少し酔いがさめた様子のS氏に言った。
「気になる部分があります。」
問題 S氏の話の中の気になる部分とは?
ライオン丸 (2005/01/02(Sun) 03:40:50)
斑猫さんこんばんわ。
実家にいるのも今日が最後、明日からはここに来れないことがとても残念っ。
職場のパソコンからこそっと覗こうかな、何せ解答が気になってしょうがない。
でも今年度いっぱいで実家に帰ってくるので、その時には私も挑戦状が出せるよう、考えておきますっ
気になる部分
1.自殺できるような岸壁に、しかも雪の積もっている寒い冬の日に、6歳の女の子が一 人で通りかかった?
2.『』内が妻の言った言葉そのままだとすると、地元が舞台とはいえ、「雪国」が小説 の題名であることも知らない可能性のある6歳の女の子に、『雪国の冒頭を朗読』と 言うだろうか?もし伝えたとしても正確に意味を把握できない可能性が高く、しかも そんな混乱する状況で聞いたその言葉を6歳の女の子が正確に伝言できるのか?
3.これは女として気になる部分。夫にそんな皮肉な遺言を残せる気丈のある妻が、長く 苦しい結婚生活の中、しかも周囲には実家に帰れと言われていた状況でなぜ離婚せ ず、もしくは実家に帰らず自殺を選んだ?両親がまだS氏に対して弱い立場であり、 両親に対する処遇などを気にしたとしても、自殺しそんな遺言を残してしまうのなら 同じ事なのに。
ではでは。楽しませて頂きました(^0^)/
小ばか (2005/01/02(Sun) 05:40:45)
こっちにも、お邪魔します。
学の無い女が小説「雪国」を引用するだろうか?
もしかして吉幾三の演歌「雪国」ではないか。
私は大卒ですが、恥ずかしながら「雪国」を読んでません。
純文学って苦手なんですよ。
SHO ◆wZvmj0BI (2005/01/02(Sun) 11:43:30)
ども。
気になる部分。
・妻は体が弱かったのに、わざわざ冬に列車に乗るだろうか?行き倒れになる可能性は結構高いと思う。
・見ず知らずの、しかも子供に、遺言の連絡を頼むだろうか?しかも、その子は地元の子で、伝えるためにはS氏のいる地域まで出向かなければならない。家に何か書き残す方がよっぽど効率がいいと思う。
こんな感じでよろしくですw
優 (2005/01/02(Sun) 12:19:53)
お邪魔します〜♪
早速ですが、推理します〜
>>前妻にとって私との結婚生活は、つらく長いトンネルみたいな物だった。
やっとそれを抜けても自分が来れたのはこの寒い雪国でしたとね。
↑の解釈が気になる部分だと思います。
長いトンネル・・・結婚する前の生活。
雪国・・・s氏との結婚生活。
つまり『国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。』は
結婚生活は思ったよりも素適なものでした。と感謝の意を込めた遺言だったと私は思います。
NB (2005/01/03(Mon) 00:19:07)
初めましていつも見ていましたが初めて書きます。
自分も優さんと同じく↓
>>前妻にとって私との結婚生活は、つらく長いトンネルみたいな物だった。
長いトンネル・・・結婚する前の生活。
雪国・・・s氏との結婚生活。
しかしこれは結婚して自由な恋愛を奪われ心が冷え切ってしまって、生きる気力を失くした。という意味だと思います。正直自信ありません…
AZUKUN (2005/01/03(Mon) 19:23:22)
間を置いては登場していて
決して常連になれないAZUKUNです(苦笑
気になる部分は小ばかさんの「学のない女が遺言に小説の『雪国』を引用するだろうか」と同じだと考えているのですが、単純に考えるとそれでは女の子がウソをついているということになってしまいますのでそこら辺を詳しく考えてみます。
まず、そもそもSの話自体が全部ウソっぱちってことなのかと考えました。
酔った勢いでの創作というのにしては変な話な気もしますが^^;
ですが、それもちょっといきなり飛躍しすぎなんじゃないかな?ということでひとまず置いておきます。
思ったのですが、どうしてS氏の前妻は新潟の日本海で自殺しようとしたのか?
これは小説『雪国』の冒頭に見立てるためだけのことだと思うのです。
しかし上に書いてあるように、前妻が遺言に小説の冒頭などを引用させるのは少し変です。
というか、女の子はその場に偶然通りかかったはずですよね?つまり、遺書や遺言は全く残さず自殺しようとしていたのに突然通った女の子に小説の一文をパッと浮かびそれを伝えた、というのはどうも考えにくいです。
これらから推測する一説ですが、当時夫であったS、もしくはSの親族が前妻を殺したのではないでしょうか?
動機は…まぁ、たとえば現在の妻と前妻とで当時なんだかんだでトラブルがあっただとか、親戚方に無理矢理離縁させられそうだった時に何か起こった…?などいろいろ考えられます。
…飛躍しすぎか(苦笑)大体この後、酒の席で面と向かって話せる内容じゃないし。こんな発想ばっかしてるとは…。
動機にいたってはもはや妄想ですね(笑 すいません^^;
もうちょっと綺麗に済ませようか。
…ってわけで優さんの回答に一票 ̄∇ ̄)/(ォィ
優 (2005/01/03(Mon) 20:18:47)
こんばんわ! AZUKUNさん!
AZUKUNさんの回答ですごい気になる部分があります!
>>女の子はその場に偶然通りかかったはずですよね?つまり、遺書や遺言は全く残さず自殺しようとしていたのに突然通った女の子に小説の一文をパッと浮かびそれを伝えた、というのはどうも考えにくいです。
これは引っかかりますね。。。
もしどうしても遺言を伝えたいのなら遺書でも残せばいい。でも偶然通りかかった子供に遺言を頼んだ。子供が現れなかったら遺言も遺書もない。
特に伝えなくても良い内容だったのでしょうかね・・・。
何か引っかかりますね・・・。
考えすぎかな〜?
この問題楽しいですねw もぉ少し考えてきます〜♪
小ばか (2005/01/04(Tue) 02:37:47)
皆さん、いろいろ考えますね。私も出題者心理を読むという裏技を少々・・・
なぜ6歳の女の子に遺言を頼んだという設定にしたか
・書置きなどによる直接の遺言ならば、ダイレクトな表現を使うと考えられるので
伝言にした。恨み言なら伝言でもダイレクトな表現を使うだろうけど、
恥ずかしい内容ならば婉曲表現にする必然性があるだろう。
・大人だと自殺自体を止めるのが普通なので、止められない女の子にした。
TK4 (2005/01/04(Tue) 11:53:56)
新年明けました。オメデトウ!
TK4で御座います。本年もご贔屓に。
さぁ、新年の挨拶も済んだところで解答です。
でも、優さん・NBさんと被るんですよねぇ…
でもまぁ、解答です。
とりあえず、いくつか考えられますので挙げて見ます。
1.おそらく、国境の長いトンネルとは病弱であった使用人の時代を指し、
そして、明るく開けた雪国の世界は、結婚後を指すのではないでしょうか?
つまり、結婚して幸せでした。と言うメッセージであったのではないでしょう
か?
2.冒頭の部分だけでなく、実は「雪国」全体がメッセージだったのではないか?
「冒頭を朗読して」と言っているだけで、その部分だけと言う限定がありませ
んので…
「雪国」の粗筋としては、妻子持ちのボンボンが、里山の芸者と恋に落ちる。
しかし、ボンボンは妻子が有る為、ある程度の距離を保って冷たい態度を取
る。そして、芸者は負けじと熱烈な愛を送る…見たいな話です。
里山を非現実(ボンボンにとって)の生活とする場合もあります。
つまり、奥さんはこう言いたかったのです。
「貴方との愛は非現実な物でした。それは、夢現の様に素敵な物でした。
しかし、それは「雪国」のお話のように叶ってしまう物では無いのでし
ょう」
そう伝えたかったのではないでしょうか?
3.「朗読してくれ」と言うのが気になりますねぇ…
つまり、声に出してくれと言う理由が判りません…
そう言えば「国境」の部分を「くにざかい」と読むのか、「こっきょう」
と読むのかは意見が分かれているそうです。
声に出せば、
「くにざかいのながいとんねるをこえるとゆきぐにであった」若しくは、
「こっきょうのながいとんねるをこえるとゆきぐにであった」になります。
これに何か入っているのかなぁ・・・
これ以上は読めないので、この案は後続の人にお任せしますw
怪盗ぱるん (2005/01/04(Tue) 22:22:13)
こんばんわ、そしてあけましておめでとうございます、参加させてもらいます。
妻は連日のように実家に帰れと責められていたらしい。
それならわざわざ新潟まで行って自殺するのは不自然ではないでしょうか?
普通に実家に帰ればいいだけのことですし、深い心の傷をおっての
自殺なら考えられますがそれならS氏の自宅等でもいいはず
つまりこれは自殺ではなくS氏との結婚に反対していた親戚による殺人事件
・・・・・なんか話が飛躍しすぎているので変ですね・・・・
まあ今のところこんな答えしかだせません
斑猫 ◆XMrov1pg (2005/01/05(Wed) 00:39:47)
するどい人がするどい回答をすでにしてたりすることも
あったりするかもしれないですが
簡単なところからコメントします
ライオン丸さん どうも
>6歳の女の子が一人で通りかかった?
太陽さえでていれば雪道を普通に歩いておかしくないと思います
SHOさん どうも
>妻は体が弱かったのに、わざわざ冬に列車に乗るだろうか?
行き倒れになるのは「重病」「危篤」の人です
「体が弱い」とはニュアンスが違いますね
AZUKUNさん どうも
>遺書や遺言は全く残さず自殺しようとしていたのに
すばらしい指摘です
「死ぬ直前まで遺言のことは頭になかった」
そういう事なのでしょう
怪盗ぱるん さん どうも
>普通に実家に帰ればいいだけのことですし
これは想像するしかありませんが
親がS家の使用人であり、彼女の承諾なしに結婚を決めた
それを考えると実家に戻れない事情があってもおかしくないですね
優さんのロマンチックな回答の刺激されたのか
NBさんTK4さんの回答も興味深いですね
まだまだおもしろい回答がありそうなので
もうすこしだけ放置します
Vega ◆EHKTGuYk (2005/01/07(Fri) 16:34:47)
こんにちは。
私は小ばかさんが最初のレスで言った「雪国」は吉幾三の演歌の方だった、を支持します。
妻が伝えたかった気持ちは「好きよ、あなた 今でも」でしょう。
理由その1.
自殺した妻は学のない女性だった→小説の「雪国」を知っていただろうか?
読んだことがあったとしても、とっさに引用できるほどの知恵があったか?
理由その2.
遺言を伝えた相手は6歳の子供。
>『雪国の冒頭を朗読してくれ、それが私の最期の気持ちだ』
とそのまま言われたとしたら、6歳では「冒頭」「朗読」などの熟語は理解できない。
ということは、上記の伝言は妻の言葉そのままではない。
恐らく妻が「『雪国』の最初の部分を言ってみて」と言ったのをS氏が自分なりに解釈してしまったのでは?
これが違うとしたら、実はS氏の作り話だった・・・とか(w
斑猫 ◆XMrov1pg (2005/01/07(Fri) 20:21:00)
正解発表です
というか小ばかさんに あっさり正解されたのは何回目だろう
これは相性がいい というのか 相性が悪いというべきか
まったく正解がでないのが一番困るので やはり相性がいいでいいのかな
Vegaさん もちろん正解です 完璧な回答です
Vegaさんの正解を読んでもらえばいいのですが
せっかく用意した後半があるのでどうぞ
斑猫 ◆XMrov1pg (2005/01/07(Fri) 20:22:39)
「前の奥様は、あなたを心から愛しておられたと思います。」
「なんだと、あいつは一度だってそんな事は言わなかった。」
「とても内気で、愛する相手には何も言えない女性だったのです。
彼女は海にとびこむ直前になって、
一度もあなたに気持ちを伝えていない事に気がついた。
だからたまたま出会った女の子に遺言を頼んだ。
でもそんな時でさえ愛してると言葉にするのは恥ずかしすぎた。
だからある作品に自分の気持ちを託したのです。」
「それが雪国なのか。」
「あなたは言いました、奥様は『学のない女』だったと。」
「家が貧しく妹たちの世話をしていて、中学もろくに通っていなかった。」
「そんな教養のない女性の遺言が、なぜ川端康成の雪国なのでしょう。
もう1つ変な点があります。遺言を聞いたのは6歳の女の子でしたね。
6歳の子に“冒頭”とか“朗読”という言葉がわかるでしょうか。
『冒頭を朗読してくれ』というのは、その子の伝言をきいたあなたが、
そういう意味だと思い込んだ言葉だと思います。
奥様の遺言は本当はこうだったのではないですか、
『あの雪国の最初を口にしてみて。それが私の最期の気持ち。』」
「同じ事じゃないか、有名な雪国といったら川端康成以外にないだろう。」
「Sさん、ここで気分を変えてカラオケはいかがです。マイクをどうぞ。」
「私はカラオケなんかやった事はない。聞く音楽もクラシックだけだ。
そんな事より前の妻の話はどうなった。」
「川端康成と同じくらい有名な“雪國”があるんです。
ほら前奏が始まりました。歌ったのは吉幾三です。
画面を見てください。歌詞がでます。」
好●● あ●● 今●● ●でも
「奥様は身を投げる前に、
あなたにどうしてもこれを伝えたかったんです・・・・・Sさん?」
「あいつは演歌が好きで、でも私がクラシックしか聞くなと言ったんです。
・・・・・バカな女ですよ・・・・・私にそんな遺言わかる訳ないのに。」
そ●に●て 少●で● 話●●●て
「・・・・・・・・雪國ですか・・・・・・・・いい曲ですね。」
《END》
(注意)
著作権に配慮し歌詞は伏字としました
「歌まっぷ」等で歌詞を参照してもらえればありがたいです
ttp://www.utamap.com/
斑猫 ◆XMrov1pg (2005/01/07(Fri) 20:23:24)
そういえばここに書く皆さんは正解発表後に
「それはおかしい」とか、あまり突っ込みませんね
皆さん心が広く、気持ちのあたたかい人ばかりなのか?
それとも暗黙のおやくそくがあるのか?
ちなみに私は突っ込み歓迎です
優 (2005/01/08(Sat) 10:08:19)
>Vegaさん
正解おめでとうございます〜歌の歌詞とは全然気が付きませんでしたw
>斑猫さん
この一週間ず〜〜っと考えても歌詞が答えだとは思いも寄りませんでしたw
推理小説ちっくでとても楽しませていただきました。
また挑戦するのでそのときは絶対に答えて見せます!!
これからもよろしくお願いします〜♪
Vega ◆EHKTGuYk (2005/01/08(Sat) 22:38:57)
>そういえばここに書く皆さんは正解発表後に
>「それはおかしい」とか、あまり突っ込みませんね
それだけ斑猫さんの問題の完成度が高いということですよ。
かくいう私も、小ばかさんが最初に指摘してなかったらきっと惑わされていたでしょう(^^;
今度は完璧に自力で正解出したいと思います!
※ 問題中に使用されている人名、地域名、会社名、組織名、製品名、イベントなどは架空のものであり、実在に存在するものを示すものではありません。