推理の死角
古畑 (2004/03/01(Mon) 22:46:18)
>みなさんもどんどん出題しましょう。
というキョウさんのご要望に答えてかなり長文で申し訳ないですが出題さていただきます。それではよろしくお願いします。<(_ _)>
午後9時、警視庁警部の「羽賀健二」は殺人事件の捜査で宮崎家に来ていた。被害者はここの主人の
宮崎雄太(52)無職。現場は浴室だ。死体は衣服を着用の上、うつ伏せで水がいっぱいに張られた浴槽に頭から浸かっていた。全身ビショ濡れである。死因は後頭部へのダメージが原因らしく凶器はどうやら現場に残っていたこの家のカナヅチらしい。被害者がよく日曜大工に使っていたそうだ。容疑者は6人。羽賀は捜査手帳を開いた。(以下捜査手帳内容)
・かなりの回数殴られており、死後も殴られた様子。
・頭部の複数回の殴打、また全身もカナヅチで殴られたようで死体はひどい損傷。
・死亡推定時刻は午後3時から午後4時30分まで。ちなみに薬物反応なし。
・部屋には荒らされた形跡がある。
(以下アリバイ内容)
・宮崎いずみ(47)被害者の妻。風呂掃除の際、死体を発見。死亡推定時刻は日課の散歩に出ていたらしい。人通りの少ないコースのせいかそれを目撃した人はいない。
・宮崎さとみ(30)娘でフリーター。死亡推定時刻には特にアリバイなし。
・宮崎義之(17)さとみの弟。死亡推定時刻は学校で授業中だったという完璧なアリバイがある。
・宮崎周司(27)さとみの弟で医師。死亡推定時刻には病院で診察に追われていた。
・宮崎悟(50)被害者の弟。だらしない生活を送っており、皆から嫌われている。アリバイなし。
・原口由紀(49)いずみの姉。工務店の社長で死亡推定時刻は20人の従業員といた。
ちなみに皆の帰宅時間はいずみが午後6時40分、義之が午後8時、周司が午後6時、さとみが午後7時40分、由紀が午後8時10分、悟が午後8時15分だそうで付近の住民とも証言は一致している。
刑事「警部、凶器からは誰の指紋も検出されませんでした。」
羽賀「ふむ、あれだけ殴ったにしては血があまり飛び散ってないな・・・洗い流したか?しかし、この様子だと入浴のために浴槽に湯を張っているときに何者が背後から襲ったようですね。それにしてもこの時間帯に入浴とは妙だな・・・」
いずみ「いえ、主人がこの時間帯に入浴するのはそう珍しくないことなんです。夜はゆっくりしたいからって、私達とは別にいつも自分で湯を張っていました。」これには他の5人も同意した。
羽賀は今日のところは一旦引き上げた。しかし翌日、事件は思わぬ展開を見せる。
羽賀「まさか、こんなことになるとはな・・・」
今度の被害者は宮崎悟(50)。死因は昨日と同じカナヅチを使用したものらしい。昨日の容疑者の一人だ。連続殺人になるとは思ってもいなかった羽賀は上司からの叱責を予想してため息をつく。羽賀は捜査手帳を開いた。今回の第一発見者もいずみである。いつまでも起きてこない悟を起こそうと思って部屋に来たときに発見したとのことだ。
・死因は前頭部一発殴打によるもの。凶器は現場にあったカナヅチと傷口が一致する。
・死亡推定時刻は午前1時30分から5時30分まで。いつも悟が寝るときにつけているエアコンのせいで死亡推定時刻は大幅な開きがある。
・夜中に物音、叫び声などを聞いた人はいない。
・死体は彼の自室のベッドにあり、寝ていたところを襲われたと思われる。
羽賀「まあ、時間が時間なのですが、皆さん本当に何も物音を聞かなかったのですか?」
義之「ええ、昨日は夕方から大雨だったしそのせいもあるかもしれません。でも僕にはアリバイがありますよ。」
羽賀「何ですって?どんなアリバイです?」
義之「友人と電話してました。ちょっと今日のテストのことで色々と。」
後に宮崎宅冷蔵庫の中から睡眠薬の混入された麦茶が発見された。いつも寝る前に皆飲むそうだ。ちなみ本当にそれを誰が飲んだかは誰も記憶していない。義之を除く容疑者、そして宮崎悟からも睡眠薬が検出された。
羽賀「なるほど、つまり誰かがこれに睡眠薬を入れ、皆を眠らせたというわけか。」
そう言って羽賀はちらりと周司を見る。
周司「そ、そんな、いくら僕が睡眠薬を手に入れやすいからってそれだけで疑わないでください!」
羽賀「い、いやそんなつもりでは・・・しかしこれも一応捜査なものでね。」
これ以後第2の事件について分かったことを羽賀は手帳に記した。
羽賀「そう言えば、第1の事件は死体がえらく損傷していたな?」
刑事「はい、特に頭部なんかは何発も殴られていて容易には顔が判別できなかったくらいです。いずみさんと義之さんが遺体を確認されました。まあ本人に間違いないとは思いますが。」
羽賀「冷蔵庫からは他に不審なものは見つかったか?」
刑事「いえ、特には。冷蔵庫にはマヨネーズなどの調味料、昨日の残り物と思われるものですね、洗面所からはメガネも見つかっています。雄太さんのものだったそうですよ。後それから義之君の友人も別に大きな物音は電話から聞こえなかったと言っています。雨の音がかなりしてたらしいです。大体電話しながらじゃあ人は殺せませんしね。」
羽賀「顔の判別が容易にできないか・・・それにまさか・・・そうか、分かったぞ!」
さて一体犯人は誰なのだろうか?
三原ジュン (2004/03/02(Tue) 01:01:50)
宮崎悟(60)被害者の弟。
とありますが、被害者より年上なのはなぜですか?
義理の弟??
くおん (2004/03/02(Tue) 02:22:56)
こんばんは。
2つ目の事件についてですが、
>・死亡推定時刻は午後1時30分から5時30分まで。いつも悟が寝るときにつけているエアコンのせいで死亡推定時刻は大幅な開きがある。
>・夜中に物音、叫び声などを聞いた人はいない。
>・死体は彼の自室のベッドにあり、寝ていたところを襲われたと思われる。
とありますが、午後1時30から5時30分のお昼から夕方まで被害者が寝ていて、その間に殺されたということでしょうか?
それとも夜中に寝ていたところを殺されたが、エアコンのために死亡推定時刻が半日ずれてしまったということでしょうか?
あまり推理せずに考えると、第一、第二の事件では、いずみとさとみにはアリバイがなく、どちらでも犯行が行える&否定する材料がないように思えますが、だから犯人ということではないですよね。。。
もうちょっと考えてみます。
まり (2004/03/02(Tue) 02:36:32)
こんばんは。
いつも楽しく推理させてもらってます。
ひとつだけ気になったのですが、22歳ではまだ医師免許を取れないのでは?
まさかアメリカ人だったりして・・
古畑 (2004/03/02(Tue) 09:51:45)
ええと、私のあまりの知識になさと説明不足,加えて誤字のために皆さんにご迷惑をかけまくってしまい済みませんでした・・・ご指摘のあったところはすべて編集させていただきます。
キョウ (2004/03/02(Tue) 11:24:41)
どうも古畑さんはじめましてキョウです。
早速すばらしい問題ありがとうございます。
まず、この連続殺人事件は、
?@初めから二人とも殺害する計画であった。
?A悟を殺害するつもりが間違って雄太を殺害してしまった。
の以上2点を考えました。
?Aの方で推理しますと、
殺害された二人は顔も背格好も非常に似ていた。(兄弟だから)
雄太はコンタクトレンズを所持しているが最近はずっと眼鏡に
している。
犯人は、眼鏡を掛けているかいないかで雄太と悟を区別していた。
犯行直前、雄太は風呂に入るため、眼鏡をはずしていたので、
犯人は、悟と間違えて雄太を殺害してしまった。
ここで、犯人は誰かということですが、
妻や子供達が旦那や父親の顔を見間違えるとは考えられない。
従って原口由紀が一番怪しい。
しかし、問題構成からいくと被害者も容疑者もみんな同居している
と考えられるし、原口由紀にもアリバイがある...
私の推測ですが、雄太といずみが最近結婚して、さとみがいずみの
連れ子と考える。
いずみは悟から性的な嫌がらせを受けていた。
頭にきたさとみは悟を殺害しようとしたが、間違って雄太を殺害して
しまった。
以上、纏まりのない推理でしたが、もう少し考えてみます。
古畑 (2004/03/02(Tue) 11:35:34)
★キョウさん
さすがキョウさんですね、しっかりポイントは押さえていらっしゃるようです。
ただ残念ながらそれは真相ではありません。ここに書いてある情報だけで十分推理は出来ると思います。しかし皆さんと僕の感覚はどうも違っているようで推理を組み立てるのが難しいと思うのであのコンタクトレンズのところをメガネに編集しておきましょう。ところで僕はコンタクトとかメガネとかはしてないので分からないのですがコンタクトも風呂場で外しませんかね?まあ、今は全く外さなくても良いコンタクトもあるそうですからなんとも言えませんが・・・
(−−;)それからもう少ししたらヒントを出します。先程のようなご指摘、また質問なども大歓迎です。
三原ジュン (2004/03/02(Tue) 12:53:47)
雄太は悟を殺そうと思ったが、ただ殺しただけでは疑われる可能性がある。
そこで自分にそっくりの身寄りのない人(浮浪者など)に金を渡し
身代わりを引き受けてもらう。
わざわざ洗面所に自分のメガネを置いて雄太であることを強調し、
身代わりを殺す。
服を着たままなのも、裸だったらもしかしたら家族が別人であることに
気づいたかもしれないから。
雄太はどこかへ隠れていて麦茶に睡眠薬を入れ、ぐっすり眠った
本当のターゲットである悟を殺す。
というのはどうでしょう?
ただ雄太が無職というのが気になりますね。
悟も働いてないだろうし、新米の医者である息子の給料だけで
6人もどうやって生活していたのかと…
もしかしたら金銭問題が関係あるのかな?
くおん (2004/03/02(Tue) 12:42:46)
こんにちは。
とりあえず、第一の事件で思いついたことだけ。
・被害者は衣服を着用の上、全身ビショ濡れである。
・夕方から大雨だった。
・現場に血があまり飛び散ってない。
から考えると、外で殺されて、それを偽装するために風呂場にもってきたとか。
そうすると、ある程度アリバイも崩れるかな?
古畑 (2004/03/02(Tue) 13:52:25)
いずみに関してですがですが死亡推定時刻は散歩、そして散歩の後、友人の家にいって傘を貸してもらってそこから帰宅したと言う風にしておいてください。(ちなみにいずみが散歩している時は雨は降っていなかった)
★三原ジュンさん
先程は誤字のご指摘ありがとうございました。
>新米の医者である息子の給料だけで6人もどうやって生活していたのかと…
もしかしたら金銭問題が関係あるのかな?
あ〜これは、関係ないです。実際いずみとさとみもいたわけですし金銭面は大丈夫かなと思います。あと推理のほうは筋が通ってますが、一つ見落とされているかも?この犯行は一人では不可能かなと思います。
★くおんさん
これは正直、予想外の推理でした。しかし容疑者達は帰宅するところを付近の住民に目撃されています。このとき容疑者達は住民が不審がるような物(死体の入るような大きな物とか)は何も持っていなかっったと考えてくださるとこちらとしても助かります。
くおん (2004/03/02(Tue) 13:45:01)
こんにちは。
もう一つ、思いついたこと。
第2の事件で義之が犯人だったとして、被害者は睡眠薬で寝ているので、一発殴打でかなづちを振り落とすだけなら、そんなに大きな音はしないのかなと。
携帯電話かコードレスの子機を持って話をすれば、片手は空いてますし。
雨の音はテープレコーダーか何かで録音しておいて、音を大きめに再生して、小さい物音に気づかせないようにしたとか。
第1の事件でも、義之は遺体の確認しているので、いずみと組めば、第1の事件の遺体は別人でも、問題なしでしょうか。
でも、第2の事件は義之が本当に雨で物音に気づかないだけだったとしたら、他の人は誰が犯人でもOKなんですよね?
睡眠薬は悟を殺した後に、自分で飲めばいいことですし。
古畑 (2004/03/02(Tue) 15:00:43)
★くおんさん
>第1の事件でも、義之は遺体の確認しているので、いずみと組めば、第1の事件の遺体は別人でも、問題なしでしょうか。
う〜ん、くおんさんはほとんど見抜いていられるのでしょうか・・・?
だとしたら解決編を仕切っていただきたいものですね♪クラシカルでも何でも良いので。
非常に興味深いので出来ればその結論に至る論理なども一つ一つ丁寧に説明していただきたいです。<(_ _)>
真相を見抜かれた皆さんもぜひその結論に至る過程を含めて説明していただきたいです。
キョウ (2004/03/02(Tue) 16:59:06)
どうも。全然真相は解りませんが、みなさんの解答を参考して、
まず、第一の事件ですが、
部屋には荒らされた形跡がある。ということから、
家に泥棒が入った。泥棒に気づいた雄太は思わず持っていたかなづち
を振り回したら不幸にも頭に命中。(殺すつもりはなかった)
慌てた雄太は、ふと泥棒を見ると自分と背格好が似ていることに気づき、
泥棒の顔をグチャグチャにした。
その後、帰宅した妻いずみに事情を説明し、いずみから義人に説明した。
そして死体が雄太であると嘘の証言をした。
しかし、悟は死体が雄太でないことを知っており、警察が帰ったあと、
死体が雄太でないことについて、いずみと義人に脅しかけた。
そして第2の事件、
まず、いずみが麦茶に睡眠薬を入れ、義人以外全員が飲んだのを確認して、
義人に伝える。
義人は、友人に電話をしてアリバイを作る。
そして、悟を殺害したのは、雄太である。
義人の友人が「雨の音がかなりしていた。」というのは、
雄太が悟を殺害する際に、万が一、大きな音や悲鳴が友人に聞こえると
まずいので窓を開け、窓の付近で電話をしていたから。
よって犯人は雄太といずみと義人の3人。
くおん (2004/03/03(Wed) 11:23:36)
おはようございます。
>う〜ん、くおんさんはほとんど見抜いていられるのでしょうか・・・?
まだ、解決編を仕切れるほど、謎は解決していません(^^;
それぞれの事件で、いろいろ推理できるくらいのところです。
第一の事件の被害者は、状況からみて「雄太」ではないと思われますが、では誰か&なぜ、そうする必要があったのか。
また、第二の事件との関連は?というところがはっきりしていません。
他の方の推理も参考にさせて頂いていますが、なかなか1本の推理に結びついてこないです。
もうちょっと考えます。
古畑 (2004/03/03(Wed) 19:13:56)
★くおんさん
>まだ、解決編を仕切れるほど、謎は解決していません(^^;
ふむ、そうですか。では考えがまとまったらお願いします♪あ、もし御入用なら登場人物は勝手に動かしてもらっても構わないですよ。前後のレスではキョウさんとほぼ同じ推理のようですが?
★キョウさん
早速ありがとうございます。一つ一つの論理展開に感動しました。もう少し皆さんの意見を聞きたいのでご迷惑をかけて申し訳ないですが解決編まで今しばしお待ちを。
皆さんも、もし他の推理があったら教えてください。<(_ _)>
KAIJI (2004/03/03(Wed) 19:11:36)
動機はわかりませんが、夫妻は悟を物取りの犯行に見せかけて殺害計画をたてる。
【犯行手順】悟を入浴させる。そこで殺害。衣類を着せ、眼鏡などで雄太と思わせる。
第2の犯行、雄太が悟になりきっている事を知らない義之が、悟(雄太)といずみの会話より悟の犯行を知り、悟殺害(復讐)を実行。夫妻の計画の誤算。
こんな感じで考えると何故雄太と思わせたか?ってな感じになる^^;
単純に雄太の入浴の癖を犯行に利用できそうと感じたのか、雄太の方が保険金などのメリットがあったのか…
いずれにせよ、ちと無理のある推理でした(滝汗
ココ (2004/03/05(Fri) 18:58:26)
こんにちは。いつも楽しく拝見させて頂いています。皆さんの推理を参考にして私の思ったことを書いてみたいと思います。(全然自信ないけど・・・)
> 刑事「警部、凶器からは誰の指紋も検出されませんでした。」とあることから、宮崎雄太の指紋もない、つまり犯人はカナズチの指紋をふき取った。計画的な殺人なら犯人は最初から手袋を着用していたはずなので、もしこれが殺人ならば、いわゆる「ついカッとなって殺ッちまった」パターンと考えられる。
ここで考えられる犯人は、アリバイのない(宮崎)さとみ、悟、そして雄太。
ココでタイトルに注目すると、雄太がアヤシイ。
たとえば「悟と口論になり、偶然手に持っていたカナズチで・・・・そして我に返った雄太は悟と入れ替わることにした。」
だめだーー無理が多いし、つながらない。考え直します。
古畑 (2004/03/05(Fri) 20:38:53)
さて皆さん、様々な推理をありがとうございました。実は私が待っていたのは前に書きこまれた三原ジュンさん、くおんさんそして今回のキョウさんの推理でした。またKAIJIさんとココさん(初めまして、よろしくお願いします。)もほぼ同系の推理だと思います。我ながらかなり意地が悪いと思いますがこれは私が意図したミスリードです。果たして私の伏線がどこまで張れているのかを確認するためにこのように時間を置いてみました。すみません・・・先程の皆さんの推理には重大な欠陥があるのです。皆さんの発想自体は鋭いものもあり、悪くはないのです。良い線で進んでいるとは思うのですが・・・しかし未だ真実は現れていません。いくつもの疑問点を積み重ね、それぞれ矛盾を起こさない解こそが真実です。それから動機の点は無視してもらって構いません。改めて質問、指摘などがあったらお願いします。また、伏線の補強ついでにヒントを含めた短い会話なども入れることを考えています。
それからわずかですが、問題文のほうを分かりやすいように編集させていただきました。それではよろしくお願いします。
KAIJI (2004/03/05(Fri) 23:02:08)
改めて推理です♪
死因は頭部の損傷。頭部は湯船につかっている。
ここの死因が水死と考えてみる。
朝、雄太を水死させる。あきらかに水死である顔を解からなくするためカナヅチで滅多打ちする。つまり死亡推定時刻を不確かにする要素も含む。
この場合出血も少ないとみられる。
合わせて死後にも叩いたあとが見られるのもつじつまが合う。
つまり、アリバイは全員崩れる。
カナヅチで滅多打ちできることの出きる可能性のある人物は何名かいるが、
一番最初に帰宅した周司が犯人である可能性が高いとみられる。
部屋を荒らすと、日中に発見される恐れがあると考えられる。
つまり、いずみ、さとみ、悟の不特定な生活の3名が荒れた部屋を不審に思う可能性がある。部屋は誰も家にいない時に荒らすのが最もな理由なのである。
また医学の知識に長けた周司だから、このような殺害(推定時間をずらす)を考えることも可能である。
唯一、夕方に周司一人であるのが偶然っぽいが、夕方はいつも留守にする習慣でもあるのでしょう^^;
眼鏡は顔がむくみ痕が残るのを防ぐ為にはずしたとか…
こんな感じでどうでしょう?
第二の犯行は睡眠薬や、一撃で殺す知識などを考えても周司でよさそうな気が^^;
古畑 (2004/03/05(Fri) 23:11:34)
★KAIJIさん
う〜ん、死因は水死ではありません。間違いなく後頭部へのダメージによるものです。現代の医学ではこれを誤認することはまずないでしょう。
よって残念ながらそれでは第一の事件でのアリバイは崩すことは出来ません。
実はここが一番重要なポイントなんです。
kuevo (2004/03/06(Sat) 13:08:22)
どうもはじめまして 面白そうなんで自分なりに解いてみました。
第一の事件は外部犯か内部犯かは家のかなづちが使われているので内部犯だと思いそしてアリバイの面から犯人は悟、さとみ、いずみと絞れる。ここで第一の事件と第二の事件の関連性を考えると同じ凶器が使われているので殺され方が多少違うにしても同一犯と考えられる。←2本の同じかなづちを前もって用意しておかなければならないので計画性も…
だから二人を殺してメリットのある人は一般的に考えて妻のいずみかな。保険とかで…かなり荒い推理でしたね。
古畑 (2004/03/07(Sun) 19:22:07)
★kuevo さん
初めまして、古畑と申します。よろしくお願いします。kuevo さんの推理のほうはなかなか鋭いですが残念ながら違います。
この事件にはいくつもの疑問点があるのは皆さんが気づいておられると思います。
先で述べたようにその疑問が矛盾を起こさない解が真実です。ヒントの会話がちょっと思いつかないので今考え中ですが、不要でしょうか?何回も言って申し訳ありませんが、
事件の疑問点の中に鍵はあります。とりあえず疑問点だけでも挙げていただければそれにもお答えします。
ココ (2004/03/07(Sun) 22:35:49)
こんばんわ。
第一の殺人でちょっと気になったことがあるので書いてみます。
普通眼鏡をかけている人は入浴する時
1、眼鏡をかけたまま入浴し、風呂場に眼鏡を置く。
2、服を脱ぐ時に一緒にはずして洗面所に置く。
のどちらかを選ぶと思います。
そう考えると遺体は眼鏡をはずし、服を着て風呂場で倒れているので少し不自然な気がします。もう少し考えてみます。
古畑 (2004/03/08(Mon) 00:10:28)
★ココさん
非常に良い方向に進んでいると思います。そのようにしていくつもの疑問を積み重ねて
いけば1つの推理が成り立ちます。では、ヒントの会話を少し入れます。
刑事「そうなんですよ、今から羽賀さんが推理ショーを始めると張り切っておられるんですが・・・」
??「なるほどな。こっちも大体読めたよ。自信はないけれどな。」
刑事「どういうことです?」
??「犯人になったつもりで考えてみるんだ。犯人は普通は誰もしないようなことをいくつもしている。明らかに行動が矛盾しているんだ。表面上はな。では、なぜそんなことをしたのか?そこには必ず犯人の理がある。それが解決の糸口だ。とりあえずこっちもすぐに水川を連れて戻ろう。羽賀さんの推理も久しぶりだからな。」
キョウ (2004/03/08(Mon) 13:46:06)
古畑さんこんにちは。
考えれば考える程、頭が混乱してきました。
チョット整理してみましょう。
第一事件のアリバイ 帰宅時間 第二事件
雄 太 被害者 − −
いずみ 散歩 6:40 睡眠
さとみ なし 7:40 睡眠
義 之 学校 8:00 電話
周 司 病院 6:00 睡眠
悟 なし 8:15 被害者
由 紀 職場 8:10 睡眠
以上のことから
第一事件でアリバイが正しければ、犯行が可能なのは
さとみと悟となるが、
第二事件は皆アリバイが無いといえる。
(唯一アリバイがある義之だが、死亡推定時刻がAM1:30〜
AM5:30と4時間あり、いくらなんでも4時間も電話
していたとは考え辛い)
次に疑問点として、
1.何故、部屋が荒らされていたのか。
2.何故、雄太は衣服を着たまま風呂に入っていたのか。
?@風呂に入る場合は当然全裸のはず。
?A風呂のお湯を止めに来たのなら眼鏡は外さない。と思う。
3.何故、雄太の顔が判らなくなるぐらい殴ったのか。
4.第一,第二事件とも同じかなづちでの犯行であるが、何故、警察
は第一事件の時、凶器であるかなづちを鑑識に廻さず、現場に置い
ていったのか。(これはあまり気にしなくていいのかな?)
未だ結論に達していませんが、古畑さんは以前の問題もあっと驚く解答
でしたので(『論理の報酬』でしたっけ、楽しく拝見させて戴きました)
今回もあっと驚く解答をご用意されていると考え、
犯人は、家族全員の共犯ではないかと・・・
もう少し考えてみましょう。
古畑 (2004/03/08(Mon) 19:03:40)
★キョウさん
大体、事件を解けるだけの疑問点は揃っていると思います。あと1つ2つあるのですが
キョウさんが今挙げているものほど重要でなく単なる補足に過ぎませんのであまり気にしたくて結構です。後はそれをどのようにして矛盾を起こさずに並べるかだけです。
>4.第一,第二事件とも同じかなづちでの犯行であるが、何故、警察
は第一事件の時、凶器であるかなづちを鑑識に廻さず、現場に置い
ていったのか。(これはあまり気にしなくていいのかな?)
確かにあまり気にしていただかないほうがこちらとしても助かります。カナヅチは元々2つあったとしていただけませんか。
>犯人は、家族全員の共犯ではないかと・・・
これは一時考えていたんですが、それだとトリックも論理も何もなく皆さんもお怒りになるだろうと思いやめました。確かな論理の上に立てられた推理。今回はこれを目指したつもりです。(多分)
KAIJI (2004/03/09(Tue) 01:47:16)
はいどーもKAIJIです。3日間、何度も叩かれた顔のことを考えてました^^;
とりあえず、思いついた範囲で改めて推理を…
雄太の入浴中にいずみが「たまには一緒に…」と隠し持ってたカナヅチで襲い掛かる。
抵抗した雄太はいずみを噛み付くが、致命打により死亡。
噛み付くことで、証拠を歯に残されたいずみはカモフラージュの意も含め顔をぐしゃぐしゃにする程叩く。
フロの潜を抜き湯を張り直す。(証拠隠滅)
さらに雄太に衣類を着せ入浴中の犯行を湯を張る時に物取りの犯行とみせかける。(硬直の対策として全身を叩く)
顔面を激しく叩いたので眼鏡はつけることができなかった。
入浴で濡れた身体を不自然にしないため、顔を湯船に浸し衣類に水が染み込むようにする。
犯行は返り血を浴びるなどのリスクが大きいため、裸で接することのできるいずみが最も適している。他の人なら雄太に警戒される恐れがあるので、こんな犯行を考えないと思います^^;
こんな感じで無理矢理疑問を繋げてみました、、どうでしょう?^^;
古畑 (2004/03/09(Tue) 13:32:31)
★KAIJIさん
う〜ん、残念ながら違います。確かに今回のも「その通り!」と言うのがあります。それから皆さん、「顔が容易に判別できない」に惑わされているようです。刑事は先程のように発言していますが実際問題文にはどう書いてあるでしょうか?そして第1の事件と第2の事件の違いこそが推理を組む上での最終的な決定打となります。
kuevo (2004/03/09(Tue) 14:18:19)
あれから結構いろいろと考えたのですが、一つの可能性としてこんなのはどうでしょうか。第一の事件は被害者が事故死しそれを隠すために全身をかなづちで殴打そして強盗に見せかけようとした。眼鏡はお風呂に入ろうとしているときにやられたように見せる偽装工作では…第二の事件で凶器を同じかなづちのすることによって完璧に隠蔽した、動機は不明ですが。この推理だと犯人は『水がいっぱいに張られた浴槽』という点でいずみか周司どちらかまたは二人で共謀したって感じで…
古畑 (2004/03/09(Tue) 17:03:46)
★ kuevo さん
さて、kuevo さんの推理もまとめの段階ですね。非常に興味深いです。考えがまとまったら解決編を仕切ってくださいますか。1つ1つ論拠を挙げていただきながら推理していただくと助かります。もちろん他の皆さんでも結構ですし他の推理があるならお願いします。
郁人 (2004/03/10(Wed) 08:04:08)
kuevoさんの考えを突き詰めれば、一つの推論が出るのではないでしょうか。
事件のだいたいの流れは、そのまま使わせていただきます。
第一の事件で、被害者の死亡が偶然に起きた事故だとすると、
それを利用して連続殺人のように見立てたこの事件そのものに
準備期間はあまり無かったように思います。
第一の事件において、被害者の死亡推定時刻にアリバイはあるが、
死体を発見し偽装工作をする時間に有利な(一番に帰宅した)人物。
事故死している被害者を発見した際に
その死亡時刻を推測でき(医者等)、自分のアリバイが完璧である事がわかる人物。
第二の事件において、突発的な犯行であったにもかかわらず
容易に睡眠薬を使用することが出来る人物。
上記により、医者の周司が疑わしくは思えますね。
いずみが犯人、もしくは共犯だとすると
第一の事件でアリバイが曖昧な彼女が犯行を実行するとは考えにくいです。
犯人は第一の事件で、被害者の死亡時刻に完璧なアリバイを持っていたからこそ
悟の殺人を実行しようと考えたのだと思います。
容疑から逃れるために、他殺……それも連続殺人だと思わせる必要があったのではないでしょうか。
あくまで推測の一つですので、事件の細かいところは省かせていただきます。
ようこ (2004/03/11(Thu) 23:01:52)
初めまして^^
皆さんの意見を見ながら私も考えてみました
・宮崎いずみ(47)風呂掃除の際、死体を発見。
→これは‥‥
夕方にお風呂掃除ってしないのでは。
しかも掃除をするなら主人(雄太)入る前するのでは‥‥
‥‥これは深く考えすぎでしょうか?
次に 周司が午後6時帰宅
→1番に帰宅ですよね。
部屋が荒らされてるのに無反応??
「泥棒に入られた、警察に連絡しなくては」と思ったり、片付けたりするはず。
というところより、2人があやしい。
一つお聞きしたいんですが、
・宮崎いずみ(47)
・宮崎さとみ(30)
→ということは、いずみさんが17才の時の子供ですよね‥‥
いずみさん再婚で、さとみさんは雄太さんの連れ子などではないですよね??
それならまたいろんなパターンの回答が出てきそうですよね^^
さて、本題で、
・かなりの回数殴られており、死後も殴られた様子。
> ・頭部の複数回の殴打、また全身もカナヅチで殴られたようで死体はひどい損傷。
→私の推理ですが‥‥雄太さんは、悟さんがよく部屋の中を物色してお金を取って いるのを知っていて、殺害を計画した。
たまたま本当の泥棒が物入りで入ってきて、雄太さんは泥棒を悟と間違えた。
いつも使っているカナヅチを持って、気づかれないように静かに近づき、後ろか ら強打。犯人はうつぶせに倒れたので雄太は何度も体中強打して殺害。
ひっくり返して顔を見て、別人と知った雄太はビックリ。
いずみも家にいたので、2人で浴室に連れて行き、雄太のように見せようと考え る。
めがねのトリックや、いずみが第一発見して、確認するということを打ち合わ せ。
刑事「はい、特に頭部なんかは何発も殴られていて容易には顔が判別できなかったくらいです。いずみさんと義之さんが遺体を確認されました。まあ本人に間違いないとは思いますが。」
→義之はまだ高校生。
母親のいずみが雄太だと確認したので、「義之も母親の言うとおり」と思い、何 の疑いも感じず、雄太だと思ってしまった。
義之は白だと思うんですよね。
あまりにも犯人が多くなりすそうだから^^;
という単純な考えですが。
それから、周二さんは、お金をせびる悟さんのことを好きではなかったので‥‥(少し無理があるかもだけど‥‥)雄太が生きていて、泥棒を殺してしまったこと、いずみが共犯なのを知ってしまったが、心にしまうことにしてしまった。
と‥‥
どうでしょうか??
とりあえず、1つ目の事件について書いてみました^^
ふ う 〜
くおん (2004/03/11(Thu) 23:57:35)
こんばんは。
久しぶりに推理しました。
といっても、第二の事件についてのみです。
他の方々の推理も混ぜて考えると、義之が午前1時30分から5時30分まで電話をしているというのは考えにくいと思われます。
義之は犯人が殺害を行っているときに、窓の近くか外で電話をして、大きな物音がしないことで犯行が行われた様子がないことを証明しようとしたのではないかと。
本当は義之が電話していた時間と死亡推定時刻がほぼ一致して、アリバイを作れるはずが、悟の部屋のエアコンが付いたままなのを気づかなかったため、死亡推定時刻がずれてしまって、そんなことになってしまったのではないでしょうか?
第一の事件で考えると、アリバイ工作をしてるような雰囲気がないので、事故か何かだったのかなと。するとアリバイがない人物が怪しい気が。
第二の事件は睡眠薬を入れたり、アリバイ工作をしているので、同じ凶器を使って連続事件に見せかけたと思われます。つまり、同一犯と見せかけることで、第二の事件のアリバイを作って、第一の事件のアリバイがなくても、犯人でないとごまかそうとした。
第二の事件は、第一の事件の犯人をかばうために、第一の事件とは別の人間が行ったということで、第一と第二の事件の犯人は別人かな?
古畑 (2004/03/12(Fri) 11:51:25)
今、皆さんの一つ一つの推理を検証して解決編を作っている最中です。様々な推理があり予想以上に手間取っています。解決編も相当長くなりそうな雰囲気です・・・
今日中に書き上げて真相を明かします。それからまた「論理の報酬」のときと同様、より良い問題を作るためにこの問題の感想をいただけたら幸いです。
古畑 (2004/03/12(Fri) 19:12:11)
羽賀警部は皆を居間に集めてクラシカルな解決編を始めようとしていた。しかしそこに別の人物の声が響いた。その人物とは・・・
今畑「ちょっと待ってください、警部。」
羽賀「今畑!?お前は確か北海道に派遣したはず・・・」
水川「僕達がいない間に活躍しようとこんな姑息な手を使って・・・かつて名刑事と呼ばれた羽賀さんも情けないことこの上ないですね。」
遅れて登場した水川も珍しく上司に毒を吐く。
羽賀「う、うるさい!とにかくお前らは黙って見ていろ!私の推理は完璧だ!」
今畑「行数の無駄です。警部の推理は間違っています。」
羽賀「こいつ・・・聞きもしないうちから何を言っている!」
今畑「どうせ第1事件の被害者の顔が容易に判別できないことから被害者は別人。雄太さんはまだこの家に潜伏していていずみさんと義之さんと共謀して悟さんを殺したとでも言うのでしょう?危うく誤認逮捕ですよ。」
どうやら羽賀も図星を突かれた様で今畑から視線をそらす。
今畑「警部、ここが科学的捜査のできない吹雪の山荘か孤島だと思っているんじゃありませんか?本当に死体の頭部を潰したぐらいで入れ替われると思っているんですか?」
羽賀「何・・・?どういうことだ?」
今畑「顔が判別できなくとも指紋で判別できますし、切り取られていない限り頭部から毛髪を採取してDNA鑑定も出来るでしょう。もし入れ替わるつもりなら死体を燃やすか、その部分を切り取って持ち去る必要があります。ちなみに浴室は死体を切断するのにかなり適しています。つまり先の作業を行わなかった時点で第一事件の死体は雄太さんに間違いありません。」
水川「今畑さん続けてください。」
羽賀が何か言おうとするのを押し留めて水川が先を促す。
今畑「第一事件の最大の問題は言うでもなく身体の過剰なまでの損傷でさらに同種の凶器が用いられたことから同一犯且つ単独犯ある可能性が高いと思う。共犯であればお互いにアリバイが成立するように計画するはずだがこの事件はいずみさんと義之さん、さとみさんと義之さん以外の組み合わせは考えにくい。しかしこの場合もいずみさんとさとみさんに第2の事件のアリバイがない時点で却下する。電話を使用していたならなおさらだな。そこにテープのいずみさんやさとみさんの声でも流しておけば義之さんといずみさん、またさとみさん共にアリバイ成立で事件の容疑から外れる。それに事件を混乱させるなら義之さん自身も睡眠薬を飲み、全員同じ条件下にしても良い。そうすれば第1の事件でアリバイがある分、彼には有利さ。模倣犯はメリットが少ない割にリスクが大きすぎる。下手すると第一事件の罪まで着せられてしまうし、わざわざ第一事件の夜に起こして内部犯だと限定する必要はない。それに模倣するより、もっと時間を置いて悟さんに罪を着せて殺すということも可能だし、こちらが安全だろうな。よってこれも却下だ。」
羽賀「じゃあ、容疑者はアリバイのない2人か!」
今畑「その逆です。警部。アリバイがある3人が容疑者です。」
水川「どう言うことです、今畑さん?」
今畑「犯人は第1事件で完璧なアリバイがあるからこそ悟さんの殺害を決意したのさ。断定しましょう。雄太さんは事故死です。」
一同は騒然となる。思わず羽賀も叫んだ。
羽賀「あの状況で事故死だと言うのか!」
今畑「あの状況だからですよ。雄太さんと悟さん、凶器は同じですがあまりにも殺し方が違うんですよ。」
水川「そう言えば、雄太さんの死体のほうがかなり損傷していたらしいですね。」
今畑「そうだ、写真で見たが殺すのに何もあんなにする必要はない。怨恨だったら悟さんもあんな状態になっているはずだ。睡眠薬まで盛って皆を眠らせたんだから心置きなくやれるさ。それに計画殺人なら時間的余裕をもっと置く。間違っても事件の夜に殺害したりしない。雄太さんの死体を損傷させたのは後頭部の傷口を潰すため。恐らく入浴中に浴槽の縁にでもぶつけたんだろう。」
一同今畑の推理に聞き入っている。そこで羽賀が一応反論する。
羽賀「事故死だと言う証拠でもあるのか?」
今畑「ええ、現場にはあまり血が飛び散っていなかったのでしょう?警部は犯人が洗い流したからだと思ったようですが、血液の循環がすでに止まっていてそれにより死体の出血が少なかったとも考えられるでしょう。洗い流したのは雄太さんがぶつけた浴槽の縁の血ぐらいです。ルミノール反応で分かると思いますよ。実際現場にはあまり血が飛び散っていなくて犯人も特に洗い流していないこと、浴槽の縁からルミノール反応が出ることがね。それにいくら抵抗したからといって全身ずぶ濡れというのは妙です。あれは死後、雄太さんが入浴の準備の最中に背後から襲われたように衣服を着せ、そのような体位を取らせたのでしょう。衣服がずぶ濡れだったのは元々死体が湯に浸かっていたからに他なりません。またメガネは偽装の可能性も捨てきれませんが死体にかけ忘れた可能性があります。入浴中は普通メガネを外しますよね?」
羽賀「で、肝心の犯人は誰だ?」
今畑「今までの証明で次のことが分かっています。犯人は真っ先に雄太さんを発見できてその死亡推定時刻、自分にアリバイがあることを自覚でき、なおかつ死体に偽装工作を施し部屋を荒らす時間的余裕のある人物。そう犯人は周司さん、あなたしかいません。」
一同はまたも騒然となる。周司は動揺しながらも切り返す。
周司「し、しかし悟叔父さんはともかく父は外部犯に殺された可能性もあるでしょう。僕は皆に言われるまで気が付かなかったが実際部屋は荒らされていたんですよ!」
今畑「苦しい言い訳ですね、それはあなたが元々切り捨てた仕掛けのはずです。それにすがるとは往生際が悪いですよ。」
水川「どういうことです?」
今畑「第一事件は部屋を荒らし、一見外部犯に見せかけたが悟さんのときは明らかに内部犯の立場で行っている。この矛盾の理由は悟さんの警戒を薄くするためと考えるのが適当だろう。明らかに雄太さんが内部犯によって殺されたと分かれば悟さんを含め、全員に警戒させてしまう。しかしそのまま外部犯と思われてしまっては自分の第一事件のアリバイは無意味になってしまう。だから彼は計画的でなく手袋がないのを逆手にとってわざとカナヅチの指紋を拭ったんだ。」
水川「そうか・・・普通、外部犯だったら手袋をはめていますからね。そこで捜査陣は疑問を持つわけですか。」
今畑「そう、そしてそれが分かっても悟さんを殺せばすでにその仕掛けは用済みだ。今度は逆に2つの事件の関連が浮かび上がって、第1の事件でアリバイのある周司さんは安泰さ。それから周司さん、分からないことが1つあります。エアコンのことは計算内だったんですか?」
周司はもう逃げ場がないと思ったのかがっくりとうなだれつつもその問いに答える。
周司「いえ、全くの計算外でした、僕も医者としてまだまだだったようです。まあ、結果的には義之君のアリバイも崩せて容疑者を増やせましたが・・・」
羽賀に連れ添われて周司は連れて行かれる。
水川「今畑さん、僕も分からないことがあるんですが犯人を断定する要素の一つである帰宅時間、あれを犯人が偽証した可能性は考えなかったんですか?」
今畑「確かに周司さん以外の人なら帰宅時間を偽証するメリットがある。しかしあの時点では彼らは雄太さんの死を知らなかった。つまり人目を気にする必要はなかったと思うんだよ。そして付近の住民の証言と食い違わないことからあの証言は正しいと見るべきだと考えたんだ。」
今畑は連行される周司さんの背中をじっと見ている。
今畑「しかし、たった一人の父親をあんなにしてまで殺人を犯す必要があったのだろうか・・・」
今畑の寂しそうに呟いたこの問いに水川は答えることが出来なかった。その後の捜査で分かったことだが、周司さんは病院で医療ミスをしてしまいそのカルテを偽装するために家に持ち帰った際、悟さんに偶然目撃されてしまい前々から脅迫されていたので今回の雄太さん発見の際、急遽この計画を立てたとのことだ。今畑の先の言葉が周司さんの心にも届いたことを切に願う。
ということでかなり長文で申し訳ないですがKAIJIさんが70%、kuevoさんと郁人さんはほぼ正解です。ただ我侭を言うなら最後の部屋を荒らした伏線も見抜いて欲しかったと思います。KAIJIさんのときにもう真相を明かそうかと思ったのですが、出来ればすべて見抜いて欲しかったのでこのように時間を置いてみました。前回の「論理の報酬」での反省をもとに作ったつもりです。出来れば今回も感想をいただけると幸いです。
kuevo (2004/03/12(Fri) 20:36:41)
解答編読ませてもらいました。自分が予想していた以上の論理的推理に驚きました。初めて参加させてもらいましたがすごい楽しかったですよ。この事件の感想は矛盾点による発想の転換ですかね。←感想になってませんね…
くおん (2004/03/13(Sat) 00:46:03)
こんばんは。
解決編の論理展開はさすが古畑さんという感じです。
今回、楽しませていただきました。
「感想を・・・」ということなので、いくつか「?」と思ったところの質問と感想を。
1.なぜ、後頭部の傷口を潰すために、顔が判別できなかったくらいに全身を殴る必要があったのか?
解決編を読む限りでは、後頭部を傷口潰すくらいに殴るだけでよかったのではないかと思うのです。
逆に外部犯がそこまで全身殴るような理由がないので。
たぶん、後頭部なのに「なぜ顔まで判別できなくなるほど殴ったのか」はいろんな人も悩んだところかなと。
2.義之がなぜ第二の犯行に気づかなかったかのか?また、死亡推定時刻の4時間ずっと電話していたのか?
ここも推理する上で悩むところだったのですが、単に雨の音が大きいので気づかなかっただけでしょうか?
今畑氏は「単独犯ある可能性が高い」といってるので、共犯ではないのですよね?
ちなみに、[18728]の「この犯行は一人では不可能かなと思います。」の発言はミスリードですか?
3.他の犯人が考えられないかどうか。
他の人が犯人(共犯説も合わせて)であるという推理を否定できないのかなと思うのです。
論理の上で成り立つ推理なので仕方ないのかもしれませんが、第二の殺人が誰でもできる&第一の事件もアリバイがない人は殺害できる(解決編では事故ですが)という推理を完全に否定することができないのはつらいかなと。
4.問題文の最後のまとめ。
問題文の最後の2行の「顔の判別が容易にできないか・・・そうか、分かったぞ!」と主人公に言われた後に犯人は誰?と言われると、その文章は事件を解くヒントで出してもらってるのかと思ってしまいます。ミスリードとしてもつらいです。
何か、それを否定するような一文が問題文にあれば、よかったと思うのですが。。。
あげあしっぽくなって、すみませんがいい問題だと思ったので納得しておきたいと思ってコメントしてみました<(_ _)>
次回作も期待して待っていますので、がんばってください!!
古畑 (2004/03/13(Sat) 09:31:32)
くおんさんから質問をいただきましたのでお答えしたいと思います。
>1.なぜ、後頭部の傷口を潰すために、顔が判別できなかったくらいに全身を殴る必要があったのか?
これは完全に問題用ですね。顔が判別できないから別人というミスリードを引き出すためのものです。全身を殴ったのは後頭部の傷口に注目させないためという理由で設定しました。また周司は雄太が事故死であることを知られるわけにはいかなかったのです。部屋を荒らしたのが外部犯ではないということが分かっても犯行時刻にアリバイのある周司はどのみち安泰です。悟さんを殺すことが最大の目的であるわけですから真相を知られるよりも明らかに他殺とするほうがマシだと考えたのです。安全は一つ減りますが先の仕掛けが見破られたところで大した打撃ではなかったと考えられると思います。
>2.義之がなぜ第二の犯行に気づかなかったかのか?また、死亡推定時刻の4時間ずっと電話していたのか?
これは問題文にもある通り、大雨により音が遮られてしまったと考えていただきたいです。また周司も最後で「義之のアリバイを崩せた」というようにずっと電話していたわけではないことが容易に分かると思います。
>3.他の犯人が考えられないかどうか。
確かにどちらにもアリバイがない人物は犯行が可能です。しかしたとえ計画的ではなくとも事件の夜にもう1つ殺人を犯すのですからリスクは相当なもののはずです。アリバイ工作も即興ながら多少はやっているはず。アリバイ工作をしていなかったという時点で第2事件でアリバイがなく且つ第一事件でもない人物は無実と見るべきです。そして最後に解決編の推理を当てはめていけば犯人はたった一人に絞られます。
>4.問題文の最後のまとめ。
う〜ん、これは申し訳ありません。あれは一種の叙述トリックのつもりです。普段推理小説では「顔が潰されているから別人」というのがセオリーですが今回は舞台設定を科学捜査の出来ないところではなく、できるところにしたことがポイントでありひねりでした。解決編での展開をあのようにするための一文ですがやっぱり駄目でしたか?(−−;)
しかしながら解決編の論理より死体の顔が容易に判別できないから別人という推理は成り立たないということは分かります。実際頭部を潰すメリットは多くはないし羽賀警部は「顔」と言っていますが実際は「頭部」と問題文に明記されているのに気づいて欲しかったのです。羽賀警部は顔を判別させないのは入れ替えトリックが行われたからと考えているに違いない→でも違う→真相は羽賀警部の言う通りではない。このような論理展開で羽賀警部の台詞が一蹴されることを望んでいました。
ただ主役の「今畑慎三郎」の言葉は信用していただきたいと思います。
>、[18728]の「この犯行は一人では不可能かなと思います。」の発言はミスリードですか?
いえ、ミスリードではありません。三原ジュンさんのレスで分かると思うのですが
三原ジュンさんの推理は雄太の単独犯と取れる説でした。もし、入れ替えトリックが行われたのなら真相はいずれにしても雄太だけではなく死体を確認したいずみ、義之も犯人である可能性が高いです。だから「この犯行は一人では不可能かなと思います。」と発言したのです。
くおんさんこれで納得していただけましたか?ぜひ返事をください。あと皆さんもまだ質問、指摘などがあればよろしくお願いします。<(_ _)>
くおん (2004/03/13(Sat) 16:00:47)
こんにちは。
質問答えて頂いてありがとうございます。
ところで、
2.義之が4時間電話していないのであれば、なぜ義之はアリバイがあると言ったのでしょうか?もちろん悟が死んだ時間は分からないですし。
あと、刑事が「大体電話しながらじゃあ人は殺せませんしね」と言ってるということは電話していない時間には殺害していないとして、「義之にはアリバイがある」と刑事が認定しているということだと思うのですが、やはりこれもミスリードでしょうか?
3.第一・第二の事件でアリバイがなく、アリバイ工作もしていないから犯人でないというのを読み解くのは難しいのでは。。。
逆にさとみは「偽装する理由がない」という理由で容疑者から外れるために偽装したということも考えられるのかなと。アリバイがないのにわざわざアリバイ工作をせずに殺すはずがないという思い込みをさせるために、アリバイ工作をしなかったということも考えられます。
さとみが殺したという証拠がなければ、裁判で無罪を勝ち取ることも可能かな?
また、雄太が泥棒を間違って殺した後、どうせ殺人犯として逃げるなら悟を殺してからと考えていたとすれば、悟を殺して住民が見ていない深夜に逃げ出すために偽装したというのもありかな?
DNA鑑定でばれてたとしても、雄太は逃走した後ですし。もちろん、いずみと義之は後で服が来ている同じだから間違えたと言い訳するとか。
できれば、周司しか殺せないという証拠か状況があれば、さらによかったかなと。
>だから「この犯行は一人では不可能かなと思います。」と発言したのです。
なるほど、「この犯行」は三原ジュンさんが推理した犯行であって、問題の犯行ではないのですね。勘違いしてましたね。
今回、最初に答えた人達をミスリードさせたり、叙述トリックがいくつか入っていたりしていましたが、せっかくの良問なので直球勝負でよかったのではないかなと思います。
次の問題も楽しみにしています(^^)
古畑 (2004/03/13(Sat) 23:22:14)
★くおんさん
お返事ありがとうございます。くおんさんの再度の質問にもお答えします。逆にさとみは>「偽装する理由がない」という理由で容疑者から外れるために偽装したということも考えられるのかなと。
>また、雄太が泥棒を間違って殺した後、どうせ殺人犯として逃げるなら悟を殺してからと考えていたとすれば、悟を殺して住民が見ていない深夜に逃げ出すために偽装したというのもありかな?
この2つなのですが犯人の心理として有り得ますか?はっきり言いますと心理学的及び
論理的観点から言ってこれは考えられないし、ありえません。果たして「偽装工作する理由がない」という理由で警察は容疑から外しますか?なぜ連続で事件を起こす必要があったのでしょうか?いずみ、さとみにその必要性は存在しません。また逃走するならやはり安全に死体を焼く、切断するなどの作業を行いませんか?無職である雄太が警察の網をくぐりながら逃げ回るのは困難です。なら、死体が別人だとバレるよりも入れ替わりトリックの可能性を疑われるもその決定的証拠を残さない方法を取ると思います。この質問を予想して私は雄太を無職と設定したのです。この状況で矛盾を起こさず一貫した推理が出来るのはただ1つ、「周司犯人説」であることを断言します。
それから義之のアリバイの設定についてはエアコンは全くの思いつきでかなり余計なものだったと思います。
皆さんにいただいた感想を次回にいかしたいと思います。ありがとうございました。
KAIJI (2004/03/14(Sun) 23:41:53)
面白かったです^^70%ですか…答えみても結構いいポイント抑えてたんですね、、
さすがに事故死までは思いつきませんでした(汗)
くおんさんのツッコミに便乗ですけど、
雄太の事故死ってのを導きだすのは難しいですね^^;もしかしたらアリバイのない3人の誰かが殺した可能性もあるわけで…
つまり、事故死と思われる雄太の死は、周司により誰かの完全犯罪を作ってしまった可能性もありそうですね^^
まぁ単純に事故死まで思いつかなかった私の負け惜しみって事で^^;
今畑さんの推理、うまく繋がってますし凄く面白い問題でした。次回作も期待してますね♪
※ 問題中に使用されている人名、地域名、会社名、組織名、製品名、イベントなどは架空のものであり、実在に存在するものを示すものではありません。