Look!! It's my luding!!
むた (2005/10/18(Tue) 23:16:53)
第1章
その日も、その教団はおごそかに朝礼が行なわれていた。舞台の上から教祖のうなるような読経の声を出し、同じように壇上にいる幹部たちがそれに続き、壇の下にいる多くの信者たちが唱和する。読経の声は入り口が一つしかなく窓もない講堂の中に合唱のように響き渡る。
パーン。一発の銃声がその緩やかなうねりを破った。グア!と言う声と共に額を撃ちぬかれて教団のNO.2のルイが倒れた。うねりのような声は止まり講堂の中はざわめきがとってかわる。
「静粛に!静粛に!」
ルイの死体のそばで呆然と立ち尽くす教祖に代わり、教団のNO.3のカールが声を荒げる。
「ライフルだ!」
信者たちの間から声が聞こえた。どこからともなく、ライフルを拾い上げた信者たちがそれを高々と壇上に向かって提示する。
「これだ!これだ!」
信者たちの声があちらこちらから響き何が何やらよくわからない。またもどよめきが起こる。今度は先ほどよりも大きい。
「こいつが逃げようとしていたぞ!」
そう声が上がると信者たちは両脇を抱えて壇上までそのやせた小男を連れて行く。ドサ!男は壇の上に転がるように上げられる。どうやら腰が抜けてるのか自力では歩けないようだ。
「エリック!」
教祖は叫んだ。その男は死んだルイに心酔していることで有名な男であった。
第2章
「お久しぶりです、ヤグチさん、むたさん。エリック殿にはお会いになりましたか?」
以前、この教団で殺人の疑いがかかったデビットが私たちを迎えてくれた。私たちはうなづくと席に着く。この部屋には他には教祖しかいない。
「あの折はありがとうございました。それで今回の事件なんですが・・・。」
デビッドはいいにくそうだ。それを教祖が促す。
「今回亡くなられたルイ様は、教祖様と共にこの教団をおつくりになった創立メンバーの一人なのです。教祖様が協議を深められる一方で組織運営などの実務面を一手に引き受けておられたとか・・・。」
「対立などは?」
私の質問に、デビッドは困った顔で教祖の顔を見る。教祖は言いにくそうに答える。
「まあ、正直に言うと意見の対立はあったよ。私のやり方が生ぬるい、自分ならもっとうまくやってみせるとよく言っておったことは確かだ。」
「なるほど。」
「だからといって、殺したいと思ったことは一度もないぞ。」
教祖は言い訳のように付け加える。思わず私は苦笑する。
「他にルイ殿と対立していたのは?」
「そうですね。カール様は教祖様に心酔されてる方でしたし、教団の拡大より教義の純粋性を重んじる方でしたから・・・。」
「教祖様の代わりに論争を買って出ることもあったってわけか。」
デビッドはしぶしぶうなづく。彼も聞いた話であることや、上位の人のことを刑事に話す事にわだかまりがあるようだ。
「身柄を拘束されている、あの、エリックはどんなヤツだ?」
「エリック殿は・・・ルイ様に心酔されておりまして・・・今回のことで一番ショックを受けているようです。」
確かに何を聞いても彼は茫然自失しているようだった。
「少し歩こうか?」
正直に言うと他の者から聞いた話を覆すような話は聞けなかったが、彼が少しでも話しやすいようにと提案をした。教祖やヤグチさんも承諾してくれた。
第3章
「君はどう考えているのかね?」
「そうですね・・・エリック殿が犯人とは思えないんですよ。」
「そうか。」
確かにルイに心酔していることを考えるとデビッドがそう思うのは無理もない。「むしろ、怪しいと言えば・・・誰にも言わないでくださいよ・・・・カール様のほうが・・・。」
確かに純粋な性格や教祖に心酔していることからも、そのほうが自然だろう。だが、彼は信者の目が集まる壇上にいて、教祖の向かって左隣に立っていた。ルイは教祖の右隣に立っていた。
「凶器の持込はどうかね?他に可能性は?」
「講堂の入り口は一つ、信者たちは入るとき全員身体検査を受けます。ただ・・・。」
「ただ?」
「壇上に立つ方々は身体検査を受けません。それから、前日は見張りもたっておりませんので・・・。」
「隠そうと思えば出来ないことはないということか。」
デビッドは困った顔でうなづく。
「指紋などの証拠は出ますかね?」
「無理だろう?他の信者がべたべた触って証拠能力はないよ。」
私は苦笑する。
「それとも他の幹部が別の銃を持ち込んだのでしょうか?壇の上で袖に隠して・・・。」
「信者たちが一人も見ないと言うことがあるかね?」
苦笑する私の頭に一つの考えが浮かぶ。もしかすると・・・。私はメモに今の考えを書き込んだ。犯人とルイが死んだ理由を一行ずつ。デビッドはメモを見せると唖然とした顔を私に向けた。だが、これが一番すっきりする考え方だろう。
問題:犯人は誰か。またルイが死んだ理由は何か。
達磨 (2005/10/19(Wed) 18:37:00)
むたさんこんばんは^^
確かこの教団の問題は以前挑戦して微妙に正解できた問題だと思うので
今回も最初から直球で挑戦です。
犯人はやはり「エリック」
ルイが死んだ理由は、「間違えちゃった」「自業自得」
「俺は教祖の右側に立つから左側のカールを撃て」と言われ
こっそり銃を渡されたエリックは
自分から見た左隣を撃ってしまった。
むた (2005/10/19(Wed) 20:07:14)
達磨さん、解答ありがとうです。あの教団は意外に惹かれるものを感じています。確か前作は「コンデンスミルク」だったかな?
正解です。エリック君は尊敬している人に当ててしまってショックを受けてしまったんです。立ち位置を間違えたというのは面白い考えです。(あんまりその辺は考えてなかったわい^^;)
もちろん、銃弾を当てるのはプロでも難しいと聞きますので単純に当てそこなったでも正解ですよ。
それにしても睡眠薬やらライフルやらが簡単に手が入る問題教団になっちまったわい。(^^;;
※ 問題中に使用されている人名、地域名、会社名、組織名、製品名、イベントなどは架空のものであり、実在に存在するものを示すものではありません。