遺作
Apollo (2003/01/17(Fri) 10:15:13)
柊玲奈24歳、相沢圭介19歳、謎と推理のラブロマンス(?)第7話です。
今回も暗号モノです。良質暗号問題を目指し、頑張ります。今回は小学生でも中学年以上くらいならわかる問題だと思います。
小学生のために先に書いておきます。『star』は『スター』と読み、『星』と言う意味。『gift』は『ギフト』と読み、『贈り物』という意味です。
では、本編へどうぞ。
●
書類整理もアタシ達刑事の立派な仕事である。その半分を終えたアタシは、刑事一課内にある壁掛け時計を見た。
「……そろそろお昼にしよっと」
書類の束を机の隅にどけると、アタシは鞄から、今朝買ったサンドイッチとミルクティーと女性週刊誌を出した。ごちゃついた表紙に綴られた幾つもの見出し。その中でひときわ目を惹くのが、『独占掲載! たのきんぐカルテット近藤俊彦の遺作!』という活字だった。
近藤俊彦とは『銀ギロチンで容赦なく』が代表曲の、某事務所のアイドルだ。その彼が先日、事務所で殺された。一応被疑者は事務所の後輩四人に絞られたのだが、そこから捜査は一向に進展を見せていなかった。
被疑者四人は、以下のとおりである。
中居 吾郎(なかい ごろう) 『SNAP』のリーダー
松岡 茂 (まつおか しげる) 『TOKYO』のドラマー
長野 剛 (ながの ごう) 『V9』のメンバー
相葉 潤 (あいば じゅん) 『山風』のムードメーカー
ところで被疑者は生前、月イチでこの週刊誌に詩を連載していた。見出しに『遺作』とあったのは、今回の詩が彼の最後の作品となってしまったからだ。
アタシはサンドイッチをかじりながら、巻頭のカラーページを開いた。見開きでFAX用紙の写真が載っている。被害者が出版社宛に送ったFAXだ。そこには、こう綴られていた。
◆◇◆
俺の目の前に、一人の男がいる。彼はどうやら俺を殺したいらしい。抵抗しても逃げられそうにも無いので、俺は彼に最後の仕事をさせてくれと持ちかけた。詩の〆切は今日だ。俺が詩を書かないと、出版社に迷惑が掛かる。そういう事情を、彼はわかってくれた。彼の素性を明かす手掛かりとなる事柄を書かないことを条件に、詩を書かせてくれた。
俺はもうじき殺される。俺の遺作を、ビッグアイドル近藤俊彦が生きた証を、心して読んでほしい。
題して、『starはここにいる』
アニーがたまに口ずさむ。『アジア1のgiftは、あなたと山に咲いたマーガレット』
アニー嬢の詩は空気とぐんぐん混ざり、天のメイシズお母さんの耳にも届く。
僕は笑った。僕を喜ばせるのが関の山な詩。そんな下らない詩に、僕も詩で返事をする。
『八つの犬が辺りに潜む。八つの犬がstarを囲む。starは海を望まない』
みんながstarに気付くことを願って、俺は彼に殺されることにしよう。あばよ。
近藤俊彦
◆◇◆
「む〜……」
アタシは頭を掻いた。被害者の詩は『難解かつ稚拙で無意味』と批判されていたらしいが、どうやら今回もその例に漏れなかったようだ。
「柊さん、何をうめいているんです?」
と、アタシのデスクに相沢が歩み寄ってきた。相沢も課内で一緒に書類整理をしていたのだ。
「これよ。マッチョの遺作」
「近藤俊彦の、ですか?」
そう確認しながら、相沢はアタシの週刊誌を覗き込んだ。
「……………………。ははあ……」
相沢が唸った。あれ? なんか感心してないか?
「何あんた。この駄作が気に入ったの?」
「駄作? いいえ、これは素晴らしい作品ですよ。詩としては駄作ですが」
「は?」
素っ頓狂な声をあげたアタシに、相沢は微笑する。
「これは優れたダイイングメッセージですよ。是非とも彼の遺志を尊重し、『star』を挙げなければなりませんね」
――――相沢が微笑したその日の夕方、近藤俊彦殺しの犯人が逮捕された。
●
以上です。犯人がわかった方は、暗号返しは無理だと思うので、この『star』のように『海を望まないもの』を含めた文章をお答え下さい。
例: 食用蛙のウシガエル
では、頑張って下さい。
Yuko (2003/01/17(Fri) 14:05:37)
こんにちはー。
設定:お見合い写真を見ている柊。いつの間にか相沢が後ろに立っている。
相沢「政治家の息子で東大卒三十歳エリート医師趣味はクラシック福山雅治似…ほう」
柊 「!!ちょ、ちょっと!!
叔母が無理矢理押しつけてきたのよ!『あんたもこの際、玉の輿にのったら?
クリスマスのケーキと女の盛りは25過ぎたらもう終わりよ』って」
相沢「ああ、クリスマスケーキって本当に短い命ですよね」
柊 「…殴るよ?」
相沢さんと柊さんをお借りして長いのを書いてみました。分かります?
Yuko (2003/01/17(Fri) 14:27:56)
あ、長いといっても書きたかったのはそれだけで。
Apolloさんみたいにはできなかったです。
まぎらわしくてごめんなさい。
Apollo (2003/01/17(Fri) 16:02:19)
わかりましたわかりました。正解です。
あまりにさらっと綺麗な解答をなさったので、すぐには気付きませんでした。
>相沢「ああ、クリスマスケーキって本当に短い命ですよね」
このやんわりとしている割にずっしり重い皮肉が好きです。
ロッキー (2003/01/17(Fri) 18:32:38)
約束した訳じゃねーから1時間とまでは言わんけど30分以上は熟読したで?
熟読したんじゃけどなあ・・・。
あ、これは岡山弁です。
Apolloさんが関西弁で話されるのでこちらも対抗しようと思いましたが、
よくよく考えると文字にすればするほど岡山弁って汚いですね〜!
ごめんなさい。普通に喋ります。
自分の問題を考えてくださってる恩がある以上、
分からないからといって投げ出すわけにもいかないので、上記の通り考えました。
ところでちゃんと通じました?とにかく30分以上考えたわけです。
今までのパターンからしてApolloさんは伏線魔ではないと判断したので、
暗号の周辺だけを熟読しました。
その結果考えて出たことといえば、
・何故あえて「gift」「star」という「英語」にしたのか?
・「star」のそれぞれの文字が何かの略字を表している可能性がある。
・「star」は本当に星で天球上の話かもしれない。
・2回出ている「山」「八つの犬」は変換するか何かを暗示しているのかもしれない。
まあそんなところです。
全然ダメですね。また考えます。
◆Yukoさんへ
入りたてとは思えないほど素晴らしい推理力ですね。敬服しました。
みー (2003/01/18(Sat) 00:08:43)
あ!!ひらめいたかも。
「油絵とちぎり絵ならどっちが楽かなぁ?」
あまりキレイな文にできないですが、
こんなんでいかがでしょう?
ひげぞう (2003/01/18(Sat) 01:17:35)
「俺なんか、どうせしがない勤め人さ。
世の中、そんな楽なことばかりじゃないさ。」
ロッキー (2003/01/18(Sat) 03:30:02)
とある理由で再び岡山弁だします。
「あれだけ書いといて気づかんかったってぼっけ〜ダサくね〜?」
そういうことです。
悔しいので「八つの犬」だけを使います。全部ではありません。3つです。
出題できるのにApolloさんのキャラを使うのもなんなので・・・。
田村警視「殺人犯は絶対この中にいるが拷問にかけられない。
井上、富沢、河本、矢間。
ナシをつけに総監のところまでいくか」
青島刑事「義勇軍までとはいいませんが、ピートルズに頼みましょう。
ヤマは我々で捜査すると頭を下げて深くお辞儀でもすれば」
田村警視「深いお辞儀?藤のように頭を垂れろと言うのか。とんでもない!
意地でも自分で突き止めてやる」
※海を望んでいたので修正しました。
Apollo (2003/01/18(Sat) 19:29:39)
皆さん正解です。が、あと一日くらい他の人も待とうと思います。
出ると思ったんですけど、誰も書きませんでしたね。『お味噌ならハナマルキ♪』
ともた (2003/01/19(Sun) 00:42:03)
ど〜も体調くずして死にそうになってた、ともたです(^^;)
ようやく風邪が快方に向かって参りました。
これでいつもどおりの回数で書き込みができそうです。
|-`)。oO(数が多けりゃ良いってもんじゃないよ)
サザエさん「カツオ〜、タマ見かけなかった?」
カツオ「ああ、タマなら、さっきコタツの中に入っていくのを見たよ」
サザエさん「コラッ!コタツになんか入ってるんじゃないわよ!!
さっさと出てきなさい、タマ!」
…お粗末でした
蒼鉛 (2003/01/19(Sun) 01:17:44)
ほとんど直感で考えてみました
なのでかなり見当違いかも^^;
「鍵二つ」
とか……ですかね?
かなり分かり辛くなってしまいましたが^^;
変なレスでスミマセン^^;
Apollo (2003/01/19(Sun) 21:27:48)
皆さん例外無く正解です。一日経ったので、締めくくります。
一応解説を。
『star』は『ホシ』、つまり『犯人』。犯人は八つの犬に囲まれています。
『犬』は『ケン』、つまり『県』。暗号文中には新潟、愛知、岐阜、富山、埼玉、群馬、静岡、山梨が隠れています。
それ等に囲まれ、かつ海とは接していない県、それは長野県。という訳で、マッチョは最後に犯人の『長野』の名前を伝えようとした訳です。おそらく長野はマッチョの生き方が気に入らなかったのでしょう。『銀ギロチンで容赦なく。そいつが俺の生き方』。……皆さんの世代じゃ、元ネタがわからんかもなあ。俺の世代でも微妙なトコやし。
さて。今回は話がいつもより短かったことが功を奏したのか、解答して下さった人数は多めでした。でも、やっぱり次も長かったりします。毎度毎度、長文にお付き合いいただき、感謝の一語に尽きます。
今回もお答えいただいた皆さんに感謝の言葉を述べ、締めくくらせていただきます。
したあっ!
という訳で、済!
※ 問題中に使用されている人名、地域名、会社名、組織名、製品名、イベントなどは架空のものであり、実在に存在するものを示すものではありません。