雪の月夜はあなたと共に
Apollo (2003/01/25(Sat) 17:20:08)
どうもこんにちは。ミステリー界の西村京太郎こと、Apolloです。柊玲奈24歳、相沢圭介19歳、『推理と小説の両方を楽しんでもらいたい』というコンセプトで続けていたこの話も、今回で第9話です。
もうすぐ2月です。今月は自分に休暇を与えていましたが、来月からはまた本業の方を頑張ろうと思っています。そんな訳で、解答者としてはこれからも『頭の運動』に来るつもりですが、出題は暫く控えるつもりです。まあ、また何か思いつけば、余暇を作ってUPする予定です。その時はまた、よろしくお願いします。
さて。今回も暗号モノです。中学生くらいなら習ったことだと思うので解けると思いますが、少々学力が必要なのかもしれません。知識問題だったらごめんなさい。
では、どうぞ。
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漆黒の闇に浮かぶ朧月。天から降り注ぐ一条の光を、積雪がほのかに照り返す。そんな冬の夜更け、アタシと相沢は一つ屋根の下にいた。
「今日は柊さんと、二人きりで明かす夜ですね。――づっ」
机上にあったボールペンと消しゴムの中から迷うことなくボールペンを選び、それを相沢に投げつけた。
相沢は額を押さえつつ落ちたボールペンを拾い、かいがいしくもアタシに返しに来る。
「何するんですか」
「なんか下品な口ぶりだったからよ」
「ですが、事実でしょう?」
相沢の言うとおり、今夜アタシは相沢と一夜を共に明かすことになっていた。けどそれはそういうアレではなく、単に署に夜間も待機するだけのことだった。
「あっ、そうそう」
アタシは相沢に見せたいものがあったことを思い出し、鞄をあさった。
「昨日ネットで『おつむのエクササイズ』っていうサイト見つけてね。そこに一問どうしても解けない問題があったのよ。楠玲子と相川孝介っていう刑事が暗号とかを解くシリーズらしいけど、相沢クンならわかると思ってプリントアウトしてきたの。――あ、これこれ」
アタシはA4のPPC用紙を相沢に渡した。
「これよ。わかる?」
「まあ、とりあえず、読んでみますよ。しかし、わかるか、どうかは、読んでみないと、判断が、つきませんが」
「なんで急に西村京太郎口調なのよ。やめて」
「はいはい」
相沢が用紙を読み始める。そこには、こう綴られていた。
◆◇◆
大富豪の大富豪(おおとみ つよし)が殺された。被疑者は以下の六人である。
大富 弥栄子(おおとみ やえこ) 被害者の妻。後妻。
大富 良 (おおとみ りょう) 被害者の息子。大学生。
貫田 千里 (ぬきた ちり) 被害者の秘書。被害者の愛人。
清水 次郎 (しみず じろう) 大富家の執事。先代にも仕えていた。
小池 冬美 (こいけ ふゆみ) 大富家のメイド。良との関係が怪しい。
高嶋 恭子 (たかしま きょうこ) 大富家のシェフ。次郎との関係が怪しい。
被害者は生前から殺されそうなことを悟り、事前に自分を狙っている者を示す暗号を残していた。以下はその暗号である。
〜〜〜〜〜〜〜
重装備の兵士は王の御前で、礼儀を示しつつこう言った。
無事に我が隊は陽動作戦を成功させました。
常日頃からの修練が遂に実を結んだのです。
のしかかる重圧に耐え抜いた我が隊を賞し、
歌人に凱歌などを何卒作らせて下さいませ。
私、大富豪が思うには、私に何かあった時は、この歌の『3‐8、3‐9、3‐10』が犯人である。
〜〜〜〜〜〜〜
さて、被害者が残した暗号は、誰を指しているのか。
◆◇◆
「わからないまま放っておくのって、なんか気持ち悪くて。で、解けた?」
「はい。この歌は4番まであって、1番から順に『を、む、て、す』で終わる歌です」
PPC用紙をアタシに返しながら、相沢は微笑した。
「1番が『を』、2番が『む』、3番が『て』、4番が『す』。てことは、あの歌ね?」
「そうです。そして『3‐8、3‐9、3‐10』ですから――――」
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以上です。答がわかった方は、あなたの好きな食べ物を、この歌の『○‐○』という形で答えて下さい。ちなみに俺の好きな食べ物は、『2‐2、2‐5、3‐11』です。
文中に誤字などのツッコミどころがあれば、どうぞ指摘して下さい。
先に言っておきますが、文中の『西村京太郎』のくだりはヒントではありません。ただ奴の作品の尋常ではない読点の多さに、「このヘタレ字数稼いで原稿料高うつかせよか思てんのちゃうんけ?(和訳: 西村氏は読点で字数を多く稼ぎ、原稿料を高くつかせようかと思っているのではないだろうか)」と訝っただけです。こんな偉そうなことをほざく俺ですが、西村京太郎さんの作品をちゃんと読んだことはありません。ファンの方、ごめんなさい。
では、頑張って下さい。
今回はもう一問、完全な知識問題を出題します。わかる方はこちらもお答え下さい。
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怪文書が警察に届けられた。差出人は先日宝石店で窃盗を働いた者らしい。内容は以下のとおりだ。
〜〜〜〜〜〜〜
おろかなる公僕どもに、俺が盗んだ物の一つがどこに隠されているのかを教えてやろう。この文章の意味がわかれば、それの在り処がわかるはずだ。
俺達は戦場の通信士。本部基地から前線基地を回り、再び本部基地に戻るのが俺達の任務だ。
安全地帯は基地の中だけ。一歩でも外に出れば敵の爆撃にさらされ、殺されてしまう危険性がある。
それでも俺達は怯まない。戦争に犠牲は付き物だ。
時には囮も使いながら、俺達は一人でも多くの生還者を出すことに尽力する。
俺が盗んだのはこの『戦場』。それをこの戦場に真ん中にある小高い山に埋めた。犬畜生よろしく、せっせと掘り返すがいい。
〜〜〜〜〜〜〜
さて、犯人は一体、どこに何を隠したのか。
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これは知識問題なので、わかる人にしかわからないと思います。ですが、この『戦争』については皆さん確実に知っていると思います。時間があれば、このおまけ問題にも挑戦して下さい。こちらの方は早い者勝ちで結構です。どこに何を隠したのか、明記して下さい。
では、頑張って下さい。
ロッキー (2003/01/25(Sat) 17:51:46)
連続出題ラッシュお疲れ様でした。
とりあえず1問目。
あえて言うなら『4−12 3−12 3−11 4−3』です。
ロッキー (2003/01/25(Sat) 18:29:19)
では、続いて2問目。
野球場の(ピッチャー)マウンドに、ダイヤモンドを隠した。
Yuko (2003/01/25(Sat) 20:04:11)
こんばんはー。
好きなのは3−10 1−2 2−7 3−8です。
人の名前じゃないですよ〜。
二番目のは、ロッキーさんのレスを先に見ちゃいましたので。
Apolloさん、一体どうしたらこんなに問題を
作れるのかとびっくりしてます。脱帽。
お忙しくなるようですが、またぜひ作って下さいね。
Apollo (2003/01/25(Sat) 21:23:39)
お二人とも、おまけ問題も含めて正解です!
>連続出題ラッシュお疲れ様でした。
お付き合い、ありがとうございました。
>Apolloさん、一体どうしたらこんなに問題を
>作れるのかとびっくりしてます。脱帽。
関係無いですが、脱帽と聞くと練習後の「脱帽! 校歌! サン、ハイっ!」のフレーズを思い出し、甘酸っぱい想いに浸ってしまいます。
>お忙しくなるようですが、またぜひ作って下さいね。
がんばります。その時はまたよろしくお願いします。
他の方もわかった方は、どんどん好きな食べ物を書き込んで下さい。できるだけ前述の食べ物は避けて下さい。では、よろしくお願いします。
Apollo (2003/01/27(Mon) 19:05:05)
もうレスは無さそうなので、解説を。
>重装備の兵士は王の御前で、礼儀を示しつつこう言った。
王の前なので、兜を取るのが礼儀です。という訳で、兵士のセリフの兜(文頭の文字)を取ると、『無常の歌』になります。
無常の歌とは、いろは歌のことです。いろは歌は仏教観の一つ、『無常』を詠い、かつ七五調であり、さらに当時の平仮名47音(これに『ん』を足せば48音になる)を全て一度ずつ使っているということで、優れていると称されています。
そのいろは歌を書きます。
いろはにほへと ちりぬるを (色は匂へと 散りぬるを)
わかよたれそ つねならむ (我が世誰そ 常ならむ)
うゐのおくやま けふこえて (有為の奥山 今日越えて)
あさきゆめみし ゑひもせす (浅き夢見し 酔ひもせす)
ちなみにうろ憶えですが意味は、
花はとても綺麗に咲き誇るが、いつかは散ってしまう。私の生きるこの世で一体何が、変わることなく常でいられるだろうか、いや、何も常ではいられない。越えにくい深山である『有為の奥山』に例えられる、越えにくい煩悩を今日越えて、浅い眠りの中で夢を見ても、それに酔うことはしない。
というものです。
この歌の『3‐8、3‐9、3‐10』なので、『け、ふ、こ』。『けふ』は当時『きょう』と読んでいたので、『きょうこ』。
よって犯人は、高嶋恭子です。
おまけ問題の方ですが、これは野球のことを言っていて、通信士は走者のことです。『戦場』は野球場の内野。野球場の内野を、その形からか四つの塁の位置からかはわかりませんが、とにかく『ダイアモンド』と呼びます。その真ん中の山は、ピッチャーマウンドのことです。
以上です。これまでお付き合いいただき、誠に有難う御座いました。とりあえず俺からの出題は、これで一旦休止します。時間ができたらまた問題を作ってUPしますので、その時はまた宜しくお願いします。
…………っちゅうことを書こう思たんやけど、諸事情により近々新しい問題をUPすることにしました。けど今日明日は絶対無理! 問題はできとるけど、問題文を作っとる時間があらへん! 明日3つもテストあんねん! 高校まではテストの結果で将来が決まる訳とちゃうから何もせえへんたけど、大学はテストで単位取れるか取れへんかが決まるから、できることはせんならん。ちゅうことで、早くてもUPは明日の夜になります。
テスト日程や二月から再開する本業のための下準備やらで時間は少ないですが、それでも絶対書き込んだります。『諸事情』については、次の話の導入部で話します。ただ一言物申すなら、
反骨精神に火が点いたっ!!!!!
さて。今回もご一考下さった皆さんに感謝の言葉を述べ、しばしの別れといたしましょう。
したぁっ!
という訳で、済!
※ 問題中に使用されている人名、地域名、会社名、組織名、製品名、イベントなどは架空のものであり、実在に存在するものを示すものではありません。