c-13
那月 (2003/09/06(Sat) 12:50:23)
はじめて問題を作ってみました。
暗号モノです。結構ひねったつもりなんですが…瞬殺かなぁ(苦笑)
○主人公「僕」――「春日 黎(かすが れい)」(男)
K大学一回生。「サークルS」に所属。この話は彼の視点を通して語られます。
○「結城 李瀬(ゆうき りせ)」――通称「ロゼ」(女)
同じくK大学三回生。「サークルS」メンバー。いわゆる探偵役です。二つの事を同時にやらないと調子が出ないという変わった癖の持ち主。
○「狼場 覚之進(ろうば かくのしん)」――通称「覚さん」(男)
黎の又従兄弟。S大学4回生。放浪癖有り。「サークルS」補欠部員。大学が違うくせに居心地が良いのかK大学に入り浸ってる。既にK大学の生徒の間では有名人。
○「佐藤 一(さとう はじめ)」
「サークルS」の部長。滅多にメンバ―の前にすら出てこない。本当にK大学に在籍しているのかさえ疑問視されている謎の人物。というのが、K大学一般生の認識であるが、「サークルS」のメンバーはその正体を知っている。説明がメンドクサイので省くが、一つだけ。このいかにもありふれた感のある名前は、もちろん偽名である。
☆「サークルS」とは、K大学に数多在るサークル中の一つ。
活動内容は不明。一部の人たちにだけ存在を知られる謎の集団。他にも「エリー」「M2」などと呼ばれるメンバーがいるが、今回は登場しないので説明はカット。
■
K大学構内。
いつものようにラウンジで雑談をしていた僕たちの元に、ふらりと部長がやってきた。…珍しい。どういった風の吹き回しだろう。部長自らが僕達の前に姿を現すなんて。確か最後に部長を見たのは――二ヶ月ほど前だったような気がする。否。もしかすると、もっと前かもしれない。
久しぶりに見る部長は、何だか前よりも痩せてみえた。大方部長の事だから碌に食事も取ってないんだろう。あれでよく体を壊さないものだと、いつも感心する。それにしても今日は又一段と酷い格好だ。髪はボサボサ、着ている白衣はヨレヨレ。おまけに無精髭が伸びていた。お世辞にも見た目が良いとは言えない。今、彼が往来に出でもしたら、浮浪者と間違われる事は必至だろう。折角の二枚目が台無しである。
しかし部長はといえば、そんな自分の格好の事などは露ほども気にならないようで、僕達のテーブルに着くや否や、肩から提げていたショルダーバッグの中をごそごそと探り出した。何をする気だろう。
サークルSのメンバーが部長の一挙手一投足を見守る中。
果たして出てきたのは、深青色のノートパソコン一台。
「昨夜未明、S市自宅のマンションで会社員の他殺死体が発見された」
パソコン片手に、部長が話し始める。
「被害者の名は『今井 正明(いまい まさあき)』 23歳、独身だ。死亡推定時刻は昨晩の23時から2時の間。死因は後頭部殴打による裂傷からの失血死。凶器は鈍器と推定されるが、現場にそれらしきものは無し。現在目下捜索中だが、未だ凶器は見つからず。よって、犯人は前もって凶器を用意し、今回の殺人を行った可能性が高い。警察も必死で捜査しているが難航している。敵も去ることながらで、今の所これという尻尾を出してはいない。そこで、だ」
そこまで一気に言い切ると、部長はにやりと唇の端を上げて一同を見渡した。
「君たち、捜査に協力する気は無いかね?」
「……」
一瞬の沈黙。
「…で、具体的には何をすればいいんです、部長?」
「お、レイ君ノリがいいねぇ!そうそう今回のはね、すなわち、少年達の永遠のロマンであるところの暗号、そう!それこそがメインなのさっ」
「――って、テメェッ!今のは全部作り事かよっ。だったら最初からそうだとさっさと言えってんだ!…たく、緊張して損したぜ」
「頭から信じる方もどうかと思うけどね」
「ああん?何か言ったか、レイ?」
「…別に」
横で何やら吼えている覚之進(バカ)は放っておいて、僕はロゼさんの様子を伺った。彼女は黙って興味深げに部長の方を見ている。…ようには見えるのだけど、微妙に焦点が合ってないような気がする。とすると、大方別のことを考えているのだろう。
彼女には「二つの物事を同時に進行する」という変わった癖があるのだ。これは意識してそうするのではなく、無意識でそうしてしまうそうだ。例えば今の例をとっていえば、彼女は部長の話をきちんと聞きながら、同時にカントの「物自体」についての是非などを考える事が出来てしまう人なのだ。
「というわけで」
何がどういう訳なのかはよくわからないが、とりあえず部長主催の暗号解読ゲームは始まりを告げたらしい。
「まずは現場の写真を見てもらおうか」
といいつつ、胸ポケットから取り出した「写真」を彼は僕に手渡した。
写真には、板張りの床と、人型に貼り付けられた白いテープ、左手には椅子の脚が、右手にはソファなどが写っている。恐らくPCで合成なり何なりしたのだろう。
…こんなの作ってないで仕事したらいいのに。
二枚目、三枚目、と捲っていくが特に気になるものは無い。失血死というだけあって、出血量はかなりあったようだ。血の跡が(たぶん血糊なんだろうけど)何とも言えず生々しい。――と、5枚目を捲った所で僕の手は止まった。被害者の右手周辺にフォーカスを当てたものだ。人差し指から続く赤の線。そして、その先には。
C-13
――の血文字。
「Cの…13?」
僕の手元を横から覚之進が覗き込む。c-13。僕にもそう読める。
「つまりこれが、ダイイング・メッセージって事ですか?」
部長が頷く。
「後頭部の傷は致命傷だったが、被害者は殴られてまだ暫くの間は意識があったと思われる。薄れいく意識の中、最後の力を振り絞ってこれを残した可能性はある。
まぁ、問題は犯人がどうしてこれを消していかなかっただが…動かなくなった被害者を見て、死んだと思った犯人が立ち去った後、残したという場合が最も強いかな。他の要因としては、2,3枚目を見れば分かると思うが、倒れた被害者の右手はちょうど、ソファの下へと入っている。ゆえに、被害者が文字を書いたとしても犯人には見えなかった、という可能性も在る」
「容疑者のリストとかはあるんですか」
「おう」
渡されたB4版の紙には以下6名の氏名と年齢が記されていた。
―容疑者リスト―
加藤 美千代(かとう みちよ) 23歳
秋本 和歌奈(あきもと わかな) 20歳
牛島 竜之介(うしじま りゅうのすけ) 21歳
北山 千春(きたやま ちはる) 21歳
御木本 礼次郎(みきもと れいじろう) 24歳
神楽坂 利緒菜(かぐらざか りおな) 19歳
年齢に若干のバラツキがあるのが気になったが…
「――ということは、c-13 という暗号を解いて、この中から犯人を指摘すれば良い、ということですね?」
「さあ、果たしてそう上手くいくかな?」
何やら不敵な笑みだ。という事は、ここから更に二転三転あるのだろうか。うん?そういえば、さっきから部長が手に持ってるパソコンは何なのだろう。何か事件と関係があるのだろうか。
「ようやく、こいつの存在に気付いたね」
僕の視線に目ざとく気付いた部長が、やれやれと僕の前にパソコンを置いた。重かったんなら、最初から置けばよかったのに。
「こいつは、今井――被害者のノートパソコンさ」
「被害者の?」
■被害者のノートパソコン(部長が制作した訳だが)を立ち上げ、c-13で検索した結果。該当したのはc-13.htmlというファイルだった。その後、これは今井が運営していたHPの1ページだという事が分かる。彼は、友人である六人の名前を使って日がな暗号やミステリを考え、HPにアップするという事を行っていた。先程出てきた容疑者リストは、その友人6人のリストである。つまり、このc-13.htmlにある暗号が指し示す人物――それこそが犯人である可能性が高い。c-13.htmlに書かれていた文章は以下の通り。
★
つひこないだ
火薬の詰まつた 瑠璃色のまりおねつとが
親に見られると 奈々は
木の根に 立て掛けていた椅子の挿絵蹴つた
「りきくこらと」
★
■意味の通るような通らないような奇妙な文章だ。参考程度に付け加えておくと、このページの壁紙の絵柄は、蜜柑と柿だった。尚、文章の下には小さな女の子のイラストが載っている。右手にきりたんぽ、左手に蓮根(の中に何か詰まってるようだが…?)のようなものを持っている。…訳の分からない取り合わせだ。言っちゃあ悪いが、今井のセンスはどうもあまり良くないようだ。
正直、これだけでは見当も付かなかったので、「お気に入り」のリストを調べてみる事にした。暗号を作る際に、今井が参考にしたサイトがあるかもしれないからだ。以下、「お気に入り」の中に入っていたサイトのリストを参考程度に書き出しておく。
★(順不同)
「数学玉手箱」
「BIGLOBE」
「朝日新聞」
「Photo Express」
「サンスポフィッシング」
「総合釣り情報」
「ミステリ倶楽部」
「日本合気道協会」
「日本工業標準調査会」
「日本自動車工業会」
「頭の運動」 etc…
★
「さて、犯人は分かったかな?」
「犯人て…動機も何も情報が無いじゃないですか」
「動機ねぇ…ま、全員あるといえばあるし、無いといえば無い。大体、動機なんて後付けのものじゃないか。本当の所は犯人以外分からないものだろう?
そして、アリバイは全員無し。やろうと思えば誰でもやれた。ま、犯人も自分一人だけアリバイがあるのは返って疑われると思ったのかも知れないな」
「そんなんアリですか…?」
「うーん、今回は純粋に暗号で勝負してもらいたいんだよ。だから、他の部分は敢えてあっさり切り落とした。OK?」
納得できない。僕は納得できないぞ。そんなダイイング・メッセージ=犯人検挙!なんてのは。ミステリっていうのは、もっと複雑なドラマがこう混ざり合って…。
「…ん、分かったかな」
と、ロゼさんの声が後方で聞こえた。
「え、分かったんですか」
「うーん…まぁ」
■果たしてダイイング・メッセージの指し示す犯人とは?
(ヒントは要請があれば出します)
kana (2003/09/06(Sat) 21:37:53)
えと。初めまして。
かなり考えてみたんですけど・・。待ったくわかんないんですけど(汗
馬鹿でスイマセン。
少しばかりヒントをいただければ嬉しいデスvv
那月 (2003/09/07(Sun) 00:30:40)
kanaさん、はじめまして。
考えて下さってありがとうございます♪
さて、それではご要請がありましたので、早速ヒント第一弾に参りたいと思います。
■ロゼさんが、僕と入れ替わりパソコンの前へと座る。どうやら自分の考えが正しい事を確認しているらしい。暫くの間、彼女がキーボードを打つ音と紙にペンを走らせる音が聞こえていた。一方その間、僕と覚之進はというと、部長命令でパソコンの画面は見させてもらえなかった。確かに暗号の糸口も解らない状態で彼女の答えを見てしまったら、カンニング以外の何物でもない。矢張りここは自力で考えるのがフェアというものだろう。数分ほど、そうして待機した後、再びロゼさんと僕は入れ替わった。画面表示は先程入れ替わった時に表示されていたものと同じだ。
「…正解だ。うーん、簡単過ぎたかな」
後方で二人の話し声が聞こえる。どうやらロゼさんの答えは合っていたらしい。
「簡単、て事も無いけどね。でも、計算するのがちょっと面倒くさかったかな」
計算?この暗号のどこで、計算などする必要が出てくるのだろう。見たところ、数字など出てきていないし…。首を傾げながら、僕は再び件の暗号文を見た。
★
つひこないだ
火薬の詰まつた 瑠璃色のまりおねつとが
親に見られると 奈々は
木の根に 立て掛けていた椅子の挿絵蹴つた
「りきくこらと」
★
何だか旧仮名遣いが使われている所があるけれど、何か関係があるのだろうか?火薬の詰まったまりおねっと、というのも何か意味深だけれど……だが、どうもこの文章には脈絡というものがない。何でまりおねっとが親に見られたからといって、絵――そういえば、挿絵という表現も変だ――を蹴飛ばす必要があるのだ。これでは、この奈々という少女が、ただの八つ当たりをしているようにしか見えない。
「どうだ、レイ。何か解ったか」
横から覚之進がひょこりと顔を覗かせた。
「……」
解らない。どう考えてもこの文章に何かの意味があるとは思えなかった。矢張りこれは『文意自体にはあまり意味が無い』のでは無いだろうか。と、すると――。
「…変換、するのかな」
「変換?」
僕はアクセサリの中から、メモ帳を選択する。
「現在のこのパソコンに設定されている文字入力形式は『かな入力』だ。これを『ローマ字入力』に変更する」
暗号変換としては、かなりポピュラーな方法ではある。これで解けたら正直かなり拍子抜けはするが、何かの糸口ぐらいは見えるかもしれない。少なくとも黙って見ているよりは進展があるはずだ。いつもローマ字入力ばかりを使っているので、暗号文を変換し直すのには思いの他苦労したが、数分後には完了する事ができた。と、そこまでは良かったのだが――
★
zvbueq@
t7hkzjzq .le\kjl6,zst@
67ino;.s uuf
gk,i qwt:weqerkxd5:zq
[lghbos]
★
「余計わかんねーぞ、おい」
「…僕に言うなよ」
どういう事だ。きっかけどころか、余計複雑になってしまった。矢張り考えが甘かったのだろうか。けれど、他にどうやって変換すればいいというのか。まさかさっきの文章を50音順よろしく数値化して――例えば「あ」だったら「1,1」、「か」だったら「2,1」という具合にだ――ダメだ。それからどうする?足しでもするか?どうも違うような気がする。この暗号は『もっと違った視点』から解く問題なのではないだろうか。
はた、と手が止まってしまった。さて、これからどうしよう。
「そういえばよ、c-13て事はc-12やc-11もあるんだよな」
「それはそうだろ。現にさっき今井氏のHPを覗いた時に他にもたくさん問題があっただろうに――」
……そうか。何も暗号はこれだけでは無かったのだ。全く同じ方法で解ける問題は無いだろうにせよ、類似問題くらいはあるかもしれない。幸い、最新作であるc-13(更新日は昨日の日付になっている。恐らく殺される数時間前に作ったものなのだろう)以外は問題の答えが載っている。
■その後、僕は暫しの間今井氏作(くどいようだが、もちろん実際は部長の作である。暇なんだか忙しいんだか分からない人だ)暗号問題の一覧とにらめっこをする羽目となった。矢張り今回の暗号と全く同じ解き方というものは無いようだったが、どうも共通性のようなものは見えてきた。
すなわち、今井氏の問題は、『初めに暗号を解く鍵』を提示し、その後で『解くべき暗号』――これは犯人の名前を指し示す部分の事だ――が出てくる、というパターンが多いのだ。
このパターンを今回の暗号に当てはめるとするならば。
つひこないだ
火薬の詰まつた 瑠璃色のまりおねつとが
親に見られると 奈々は
木の根に 立て掛けていた椅子の挿絵蹴つた
↑この部分はあくまでも『暗号を解くための鍵』の役割で、
「りきくこらと」
↑ここの部分こそが、『犯人の名前』を指し示すのではないだろうか。
よし、少し方針が見えてきたぞ。
「りきくこらと」……アナグラムという訳でも無さそうだな。さて、こいつをどう料理するか。ちなみにこれを『ローマ字入力』で変換すると『lghbos』となる。
「lgh……?」
「そういや、そんな拡張子があったな」
あと製品の型番にもあったような気がする。だが、そうすると『bos』は何だ?すぐ連想できるのは『boss』とかだけど……いやいや、何だか泥沼に足を踏み入れかけているような気がするぞ。矢張り、これにも意味は無いのじゃないか?
■ヒント第一弾はここまでです。
不明な箇所、質問等ありましたらお気軽にどうぞ♪
kana (2003/09/07(Sun) 14:47:36)
考えてみたんですけど・・。意味わかんないけど聞いて(読んで?)クダサイ。
まず、lhgbosって言うのを全部アルファベットでの語順に直してみたんですけど、そしたら、「L=12][H=8][g=7][b=2][O=15][s=19]で,まずそのまま全部足してみると63。で、一つずつ足していくと36。
・・。ここから進展ナシです(泣
那月 (2003/09/07(Sun) 16:49:31)
>全部足してみると63。で、一つずつ足していくと36。
おお!まさかそんな風になっていたとは。(驚)
いかにも何かありげですが、
↑の発言でも解るとおり、その事には
私自身気付いておりませんでした。
作中で黎も言っていますが、
この暗号はもう少し『違った視点』から眺める必要があります。ロゼが自分の考えを確認するのに、『紙とペン』を使っていた事にも注意してみて下さい。
また、『お気に入り』に登録されていたサイトは
実際にネット上で公開されているものです。
検索すれば、何か解決の糸口が見えてくるかも…?
(とはいえ、特別な知識が必要という事ではありません。中学生までの知識があれば十分です)
那月 (2003/09/07(Sun) 18:05:31)
■「そういえば、お前」
「何だ?」
「僕が問題一覧を見ている間、頻りにペンを走らせていたろう。何を書いていたんだ?」
「ああ…それか。いやな、もしかすると問題の犯人の順番には一定の規則性があるんじゃねぇかと思ってな。そんで書き留めてたんだ」
そう言って、覚之進は僕に手帳を見せた。
★
c-0 北山 m-0 牛島
c-1 加藤 m-1 秋本和歌奈
c-2 牛島 m-2 加藤
c-3 加藤 m-3 御木本
c-4 御木本 m-4 北山
c-5 御木本 m-5 秋本
c-6 秋本和歌奈 m-6 神楽坂利緒菜
c-7 神楽坂 m-7 北山
c-8 御木本 m-8 牛島
c-9 牛島 m-9 加藤
c-10 加藤 m-10 御木本
c-11 北山 m-11 秋本
c-12 加藤 m-12 牛島
c-13 ??? m-13 加藤美千代
o-0 加藤 w-0 神楽坂
o-1 北山 w-1 北山千春
o-2 御木本 w-2 御木本
o-3 牛島 w-3 秋本
o-4 秋本 w-4 北山
o-5 神楽坂 w-5 牛島
o-6 御木本礼次郎 w-6 牛島竜之介
o-7 牛島 w-7 加藤
o-8 加藤 w-8 加藤
o-9 牛島 w-9 北山
o-10 秋本 w-10 御木本
o-11 御木本 w-11 神楽坂
o-12 神楽坂 w-12 神楽坂
o-13 御木本礼次郎 w-13 牛島竜之介
★
「特に規則性は無いようだけど……こうしてみると、幾つか気になる点はあるね。例えば普通はa,b,c,d,…と続く筈の所が、このファイル名では「c,m,o,w」しか使われていない。それに…覚、所々フルネームの所があるけど、これは――」
「ああ、それはな。その問題に限り、容疑者リストの氏名とフルネームが一致していたんだよ。他の問題は苗字だけだ。例えば、同じ秋本が犯人でも「秋本由香」だとか「秋本菊代」だとかな」
「ふうん…」
果たして関係があるのか無いのか。
僕たちが頭を悩ませていると、後ろから部長が顔を覗かせた。
「大分お困りのようだね。どうだい、ここらで一つロゼ君に意見を聞いてみたら」
「それはルールに反しないんですか?」
「ま、とりあえず許容範囲だよ」
そうか、ならば聞いてみることにしよう。
この問題一覧各々の犯人のリストを見て、犯人を推測する事はできるか否か。
答えは、「可」だった。
「とはいっても、これはおまけ――つまり別解のようなものだね。実際私も今、覚さんの手帳を見て規則性に気付いた訳だし。でも、本来の解法を導く上でも参考になる発想ではある」
どういう事なんだろう。さっぱり解らない。規則性?どこに規則性なんてものがあるのだろう。
「あまりこだわり過ぎない方がいいよ。このリストはとりあえず保留しておいた方がいいと思う。あくまでおまけの解法だから。矢張りここは部長の意向に則して、c-13.htmlに書かれた暗号を解く事に専念した方がいいんじゃないかな?部長もその方が喜ぶと思うよ」
部長が苦笑いをしている。結構苦労したであろう、暗号をあっさりと見抜かれてしまって内心複雑な思いなんだろう。ロゼさんは一つ小さく伸びをすると、コーヒーを入れてくるよ、と言ってラウンジの外へと出て行った。
――さて、それでは忠告どおりに、再びあの暗号の解読へと戻る事にしようか。
夏華 (2003/10/03(Fri) 20:59:17)
私、小学生です。
解けますか?この問題・・・
※ 問題中に使用されている人名、地域名、会社名、組織名、製品名、イベントなどは架空のものであり、実在に存在するものを示すものではありません。