「X-eks-」
川田 智恵 (2003/10/07(Tue) 13:29:21)
初めての書き込みです。
穴だらけかもしれませんが、どうぞよろしくお願いします。
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ある、人口10万人の都市は、日に傷害事件が700件、殺人未遂が500件、殺人事件が300件起こるほどの危険な場所でした。
しかし今年の春、県警の一新により就任した新署長の的確な計らいで、全ての事件の被害はなんと半分以下にまで低下したのです。
それに相反し、検挙率は40%アップ。
冬になる前の寒い日には、市民との連携を行うことで早期発見に至り、よってこれらの功績を挙げた署長への労い、加え、更なる防犯を行うための催しが、収容人数1000人の市民ホールで開かれる事と成りました。
しかしその前日・・・、
私は「X-eks-」だ。
明日、市民ホールに1000人の、市民及び各県の警察やマスメディア関連の者達が集まってから日が変わる前に、この街で500以上の人が死ぬ。必ず。
これはマスコミ各社に送られてきたメールで、もちろん、警察署にも同文のメールが届いていました。
おまけにこの「X-eks-」とは、最近起こる事件を見事言い当ててみせる、住所も年齢も名前も性別も不明な、不思議な存在です。
しかし署長はこれを一市民の警告であり、1000人もの者達が集まる市民ホールで何か起こるのだと読み、署員を総動して、催しを成功させるのだと胸に誓いました。
当日になり、ホールは人で一杯になりましたが、結局、何も起こりませんでした。
「大捕物をご披露できなくて残念です」 と、署長はユーモアを持ってマスコミ各社に話していました。
しかし後日、市民、マスコミ各社、そして県警は、「X-eks-」が善良な一市民でないこと、それどころか警察を欺いて見事に500以上の人を死に至らしめた悪人である事に気づかされるのでした。
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以上が本文です。
ちなみにこの日、市民ホール以外の場所では何の催しもされず、いつも人で賑わう通りでもデパートでも駅でも、大きな事件はありませんでした。
そして死亡した人の中に、不慮の事故の犠牲者は含まれて居ません。
では如何にして、「X-eks-」は500以上の人を死に至らしめたのでしょうか。
そして何故、警察は事態に気づき、普段通り対処する事が出来なかったのでしょうか。
この二つの答えを提示してください。
瞬殺覚悟です。
むた (2003/10/07(Tue) 16:33:32)
この町出身の殺人者が500人以上死刑になった。これでは警察は手が出せない。ということでしょうか?
川田 智恵 (2003/10/07(Tue) 16:43:23)
>この町出身の殺人者が500人以上死刑になった。これでは警察は手が出せない。
>ということでしょうか?
この場合は、「X-eks-」は諸悪の根源でなく、ただの傍観者になってしまうので、残念ながら違います。
ヒント
死亡者の中には確かに悪人が居ますが、前科の無い一般市民も含まれて居ます。
Yuko (2003/10/07(Tue) 16:52:57)
こんにちは。
>では如何にして、「X-eks-」は500以上の人を死に至らしめたのでしょうか。
警官は市民ホールへ詰めているので、この日だけは市内から警官が消え、パトロールも手薄。
通報してもなかなか来てもらえない状態に。
これではいつもなら殺人未遂で済んでいた500件のうち、かなりの数が殺人にまで発展
するでしょう。
200件が殺人になったとして、300件と合計したら500件・・・。
窃盗なども増えるでしょうから、そこから殺人が起きることを考えれば
もっともっと多くなるかもしれませんね。
>そして何故、警察は事態に気づき、普段通り対処する事が出来なかったのでしょうか。
警官は市民ホールに総員出動しており、日が変わるまで警備しなくてはならなかったから。
その間、日常的な事件よりもホールの警備を優先すべしと命令されていたでしょうね。
大きな事件、例えば駅で爆破などが起きたらもちろんそちらへ駆けつける手はずになっていた
けど、そういう事件は起きなかった。
小さな殺人事件も積み重なれば大量殺人と同じく多くの命が奪われることになる、という
ことに気づかなかった、ということでは。
つまり「X-eks-」は、自らは手紙を送りつけただけで、
市内のあちこちで日常的に起きている殺人事件の数を増やしたのではないでしょうか。
恐ろしい話ですが・・・。
川田 智恵 (2003/10/07(Tue) 17:17:36)
Yukoさん、完璧な解答をありがとうございます。
たとえ瞬殺でも、少しくらい的外れなのを期待していたんですが、甘かったようですね。
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おりしもマスコミは、後日の統計を見た警察と同じ時間に、それとは別の経路で事実を知る事と成りました。
その経路とはもちろん、「X-eks-」からのメールです。
私は「X-eks-」だ。
どうだったかね? 市民ホールでの催しは。あの中は安全だった事であろう。
いや、実際は、あの中が普通で、その外が署長の就任前よりもっと酷い状況に落ち込んでしまっただけの話なのだが。
なぜかって?
だって頼みの警察は500人がいっぺんに死ぬと勘違いしてしまい、一箇所に警備を集める事で損なわれた警戒のため起こった数々の、関連性皆無の事件で死んだ延べ500人の事に、数日たってやっと気が付いたのだからね。
その後、日本はこの話題で持ちきりになり、この都市は今まで以上に有名になりましたが、残念な事に、不信感を得てしまった市民からの連絡が急激に減り、クリスマスシーズンにはすでに検挙率は一般の都市と同等になってしまっていたのでした。
「X-eks-」はどうしたかって?
それは簡単。
数々のサーバーを通り所在がかく乱されたメールしか手がかりの無いのに逮捕される事はありませんでした。
しかし「X-eks-」逮捕に署員を総動させた署長は、更に検挙率が低下してしまい、その座を別の人に譲る事態に陥ったのでした。
まぁ、掴まったところで、「X-eks-」は、この件については公務執行妨害程度の罪にしか問われないのでしょうが。
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以上で、今回の問題は終了です。
長々と(かなり短い間)、お付き合い頂けて、すごく嬉しいです。
これからも頑張って問題を出すので、その都度の的確な解答、お待ちしています。
Yuko (2003/10/07(Tue) 17:41:12)
川田さん。
おつかれさまでした。
読めば読むほどぞくっと来ますね。
このままテレビのオムニバスドラマになりそう。
文章もうまいし・・・。
二通目のメールをマスコミにつきつけられ、
呆然とする警察署長(北村総一朗)・・・。
解答中、メールを手紙と書いてしまいました。すみません。
とても面白かったです。ありがとうございました。
(済)
※ 問題中に使用されている人名、地域名、会社名、組織名、製品名、イベントなどは架空のものであり、実在に存在するものを示すものではありません。